2020年ドラフトでカープは育成選手を含め、全7選手を指名した。そして唯一の育成ドラフト指名となったのが、捕手の二俣翔一(磐田東高)だった。

 ここでは、長年アマチュア球界の好投手たちの球を、実際にブルペンで受けた上で選手を取材し続ける“流しのブルペンキャッチャー”こと安倍昌彦氏が、育成ドラフト1位指名・二俣の特徴について語る。

カープから育成ドラフト1位指名を受けた二俣翔一選手。

◆まずは支配下登録を目指す

 前年のドラフトでは3名の育成選手を指名したカープですが、今年は1選手の指名にとどまりました。今カープの中でも特に競争の激しい捕手のポジションで指名されたのが磐田東高の二俣翔一選手です。

 まず二俣選手の特徴として挙げられるのが、捕手の生命線でもある肩の強さです。投手としてマウンドに立てば140キロぐらいの球は投げられるようですし、高校生の捕手としては比較的強肩の部類に入ると思います。また単純な肩の力以上に私が評価しているのは送球する際の腕の振り方です。肩の力に任せた投げ方ではなく、理にかなったきれいな投げ方ができている点は良いポイントです。地肩の強い選手は力任せなスローイングをしてしまいがちで、故障に泣かされるケースも少なくないのですが、二俣選手の場合おそらくこれまで大きな肩の故障はなかったのではないでしょうか。

 ただ一目見て分かる通り、まだまだ線が細い選手ですし、春のキャンプでは木製バットに相当てこずるはずです。打球がまったく前に飛ばないという可能性も考えられますが、そこは地道なトレーニングをして、筋力をつけていくしかありません。またプロでは高校時代とは比較にならないほどの投手がチームにいます。それぞれの投手の特徴をつかむためにも、とにかくブルペンで投手の球をたくさん受けることも重要です。

 カープの若手捕手で育成選手には持丸泰輝選手(2019年育成ドラフト1位・旭川大高)がいます。彼も良い捕手ですし、二俣選手にとっては当面の間ライバルとなるだけに、切磋琢磨して、まずは支配下登録を勝ち取ってほしいです。