◆若い選手の台頭は良い誤算

5月19日の巨人戦でプロ初打点を記録した中村奨成選手。広島出身の期待の若鯉だ。

 カープのチーム状態は、なかなか浮上しきれない感じですね。コロナの影響を受けてチーム編成はかなり大変だと思いますけど、たとえば二軍から上がってきた若い選手にとっては事情に関係なくチャンスだと思うし、個人的には中村奨成選手に期待しています。

 中村選手は本来のキャッチャーではなく外野手で使われたりすることもありましたけど、5月19日の巨人戦で初めてキャッチャーとしてスタメンで出場しました。それもそのときの先発が、仲良くさせてもらっている九里亜蓮投手ということで注目して見ていました。

 結果的に九里投手は完投勝利で、中村選手は打っては2打点、キャッチャーとしても9回まできっちりとリードしました。初スタメンマスクまで4年かかりましたけど、見ていてうれしかったですね。たぶん本人のなかでは焦りもあったと思うんですけど、チャンスが来たときに期待に応えることができたのは、コツコツと努力を重ねてきたからだろうなと思います。

 前回のコラムでも触れましたが、若い選手の頑張りはチームに競争意識を生んで、活気を与えると思います。正直、開幕前に想定していたメンバー、チーム状態とは違いますけど、若い選手がここまで台頭してくるのは良い誤算ですよね。

 ただ、長いシーズンを考えれば経験豊富な選手の力は必要になると思います。若い選手の活躍がうれしい反面、実績のある選手たちも早く調子を取り戻してほしいですね。

 パ・リーグとの交流戦も無事にできるのかどうか分かりませんが、カープに関して言えば、昔から交流戦の成績はあまり良くないですよね。ただ今年に関しては、仮に予定通りに試合ができるとしたら、想定外の活躍を見せている若手選手たちの力で、もしかしたらいままでとはちょっと違う交流戦になるんじゃないかなっていう期待感もあります。