1995年のレギュラー定着以降、長きにわたりカープの主力選手として活躍した緒方孝市前監督。現役時代は盗塁王、ゴールデン・グラブ賞など輝かしい実績を残す一方で、度重なるケガとの戦いも強いられてきた。ここではプロ19年目のシーズンを迎えた“背番号9”時代の緒方氏のインタビューを再録する。
(広島アスリートマガジン2005年6月号掲載)

 

― 開幕戦のスタメン紹介で「6番センター、緒方孝市」と場内にコールされました。
緒方「自分の中で目標通りスタートラインに立てるということで、やはりうれしい気持ちでいっぱいでした。昨シーズンが終わった時点で、次のシーズンの開幕戦に出場するというのが一番の目標でしたから(オフに椎間板ヘルニアの手術)」

― 開幕戦は劇的な決勝2ラン。2戦目は同点を阻むバックホームと、巨人との開幕シリーズでは10打数4安打4打点と大活躍でした。
緒方「身体の方はある程度動けるという目処がついていたので、プレー自体にはあまり不安はありませんでした。ただ走攻守全般における実戦的な感覚がどれくらい戻っているのかなという、不安な部分ももちろんありました。オープン戦も3試合しか出られなくて、ある意味ぶっつけ本番になっていましたから」

― 山本監督から開幕スタメンを告げられたのはいつの事ですか。
緒方「(開幕戦の)当日です。オープン戦でスタメンに入って3試合目のナゴヤドーム(3月24日)で打球を追った際に、左肩をフェンスにぶつけてしまい、全力でバットが振れなくなった時期がありました。その後のオープン戦2試合も出場できなくて、監督も僕が練習をしている様子を見ていて、ギリギリになるまで決めかねていたのではないかなと思っています」

― 昨年は先頭打者本塁打を6本放つなど前半戦は元気なプレーを見せていましたが、後半戦は先発を外れる試合もありました。やはり椎間板ヘルニアの影響があったのでしょうか。
緒方「いいえ、そうではなくチームとして、『後半戦は若手を使う方針で行く。その中で競争してくれ』と首脳陣からも伝えられていたので。『実力を比較して、良い方を使う』という意味だったのだと思います」