◆プロ3年目の山﨑を襲った試練。支えとなったサポーターの声援
同じポジションを争う相手は、今や日本を代表するCBに成長した荒木。最終ラインには『鉄板』と呼ばれる佐々木翔、塩谷司が君臨し、ルーキーの前に高い壁として立ちはだかった。それでも、プロ1年目はリーグカップ合わせて17試合に出場。さらなる飛躍を目指してキャンプから精力的にアピールした2024シーズンだったが、ここでも大きな困難が山﨑を襲う。
開幕直後の3月、トレーニング中の負傷で、右膝前十字靭帯再建術・内外側半月板縫合術と大きな手術を受けることになったのだ。クラブが発表した全治は9~10カ月。シーズン中の復帰は絶望だった。
「あの年はキャンプから手応えを感じていました。『今年はやるぞ』と気合も入っていたし手応えもあったのに、大ケガをしてしまった。正直なところ、相当ショックだったんです。ケガもケガですし、(リハビリが)長くなるだろうということはわかっていたので」
同じポジションには経験豊富なベテランが並び、同世代も着実に定位置をつかんでいる。焦りも悔しさもあっただろう。それでも山﨑は、不屈の精神とポジティブなマインドで前を向いた。
「落ち込んだところでその状況を変えることはできませんから。強くなった姿でピッチに戻るしかないんだと考えるようにしました。落ち込むのも1日だけにしようと決めたんです。1日だけドンと落ち込んで、あとは切り替える。落ち込んでいても良いことはないですし、早く治るわけでもないですしね。それに、そんなメンタリティの選手がいるのはチームにとっても良くないだろうと思ったんです」
その言葉の通り、リハビリ中も山﨑はファン・サポーターの前に姿を見せて声援に応えてきた。
「自分はリハビリ中で、その日の試合どころかしばらく出場できないことはわかっているのに、3番のユニホームでスタジアムにきてくれる方がいる。そういう光景を目にしたり、『頑張れ』と声をかけてもらうことが本当に力になりました」
声援と激励が、長いリハビリ期間を乗り越える支えになった。車椅子で、松葉杖で。山﨑がピッチに姿を現すのは、感謝の気持ちの表れでもあった。
「『来てくれてありがとうございます』という気持ちも込めて、少しでも元気な姿を見せたいなと思っていました。あとは僕自身が目立ちたがり屋なので、みんなの前に出たいという思いもあったんですけど(笑)」
ムードメーカーらしくそう語りながらも、ピッチで声援を浴びることで自身を鼓舞する思いもあっただろう。
「僕への声援だけでなく、チームを応援する声を聞くと、ああ良いな、ここでプレーしたいな、ここに戻ってこないといけないな、という気持ちにもなりました」
必ずこのピッチに、これまでよりもっと強くなった姿で戻ってくる。その決意の通り、2026シーズン、山﨑は見事な復活を遂げた。
(第3回へ続く)
