今年4月、『エイジェック高等学院』の野球部監督に、元阪神の中野佐資氏が就任した。社会人野球や少年野球での指導経験を経て、初めて高校野球の世界で指揮を執ることになった中野監督。監督ならではの野球指導法を聞いた。
―『エイジェック高等学院』の監督を依頼されたときは、どういった心境でしたか。
「こちらの栃木のセンターには子どもたちに野球を指導するアカデミーがあるのですが、もともとは、そちらを手伝ってほしいという話からスタートしました。私自身、小さい子に教えるのは楽しいですし、『全然大丈夫ですよ』という感じだったんです。
でもだんだん話が変わってきて、『実は高等学院をつくるから野球部の監督をしてくれませんか』ということになり……まさに寝耳に水でしたね。
プロ野球を引退してから、社会人野球や少年野球で指導してきて、高校野球の監督という話をいただいたこともありました。ただ、一つのチームの監督をすると、他のたくさんの子どもたちに指導することができないので断っていたんです。
でも年齢も年齢ですし、最後のご奉公として経験してこなかった高校野球に携わってもいいかなと。自分の持っているものを全て子どもたちに与えてあげたいなと思い、監督をお引き受けすることにしました」
―実際に高校生に指導をしてみて、印象的なことはありますか。
「一番は、打てば響くという点ですね。欠点や修正箇所をアドバイスすると、すぐに直るんです。まだ癖がないからなのでしょうが、素直に聞いてくれる。アドバイスしてすぐに結果が出るのはやりがいがありますし、一人前になっていく姿を見るのはすごく楽しいですね。
この学院には、『前の学校で野球をやっていたけど、いろいろな事情で辞めざるを得なかった』、『野球をやりたいのにできない』、そういった子も場所を求めて来ています。
私は最初の挨拶で、『俺は先生じゃない。監督って呼ぶな。中野さんって言いなさい。監督って言ったらもう教えないから』と話をしました。勉強は教えられないけれど、野球に関しては君たちのやりたいようにやれる環境をつくってあげるからとはっきり伝えました。うまくなりたい、強くなりたい以前に、何をしたいのか言ってくれ、やれることは全部やってあげるからと」

