―それは面白いですね!大学院では筋力トレーニングやバイオメカニクスのことを学ばれると伺いましたが、その分野への興味の入り口はどこだったのでしょう?

「自分が学生時代に空手をしていたことと、父が地元で治療家兼パーソナルトレーナーのようなことをしていたので、小さい時からトレーナーの仕事を近い距離で見ていました 。自分自身も専門学校に入学した後、外部のトレーニング施設でパーソナルトレーナーとして活動していました 。その指導の中で『ここがもう少し深掘りできれば、もっといい指導ができるのに』という疑問が出てきて、それをブラッシュアップしていった結果、今回の研究テーマに結びつきました。

 近年、パーソナルトレーナーの業界では事故や怪我が多く起きているという課題があります。主観的な強度の指標や、本人がどのぐらいの疲労度を感じているかをあまり汲み取らずに、ガンガン追い込んで怪我をさせてしまうことがあるんです。そういったところを防ぐために、トレーナーとクライアントの意思疎通やフィードバックをしっかりと取った環境でトレーニングができるような指導や研究をしていきたいと思っています」

―海外のスポーツ現場とのレベルの違いを感じた経験があると伺いました。具体的にどんなところでそれを感じましたか?

「以前、クアッドボールの日本代表の帯同トレーナーとして、アメリカで開かれたワールドカップに同行したことがあります。その時、海外のトレーナーの方が進んでいるなと痛感しました。

 現地のトレーナーステーションには入学して1、2年ぐらいの学生が数名いたのですが、彼らの知識量や、見たことのないテーピングの巻き方、そしてその速度と正確さに圧倒されました。向こうのアスレティックトレーナーと話すと、最新の論文や研究内容を現場に落とし込むのが本当に早いんです。出たものをすぐに取り込んで試し、精査して最適なものを使う。日本ではまだ古典的な手法にこだわっている部分も大きいと感じたので、その差は大きく感じました」

―大学院での2年間を通して、どんな人間になりたいですか?また、後輩たちへメッセージをお願いします。

「大学院にいる2年間もパーソナルトレーナーとしての活動は続けるつもりなのですが、クライアントの悩みやトレーニングに対する疑問にすべて答えられるような、『歩くトレーニングブック』みたいな人材になれればなと思っています。

 後輩たちに伝えたいのは、多方面の人たちと積極的に関わりを持つことの重要性です。専門学校にいると同じ学校の人とばかり関わりがちですが、他大学の方と関わると、学校ごとの特色が見えてきます。早稲田のサークルでは、ユーモアがありながら圧倒的な教養を持っていて、0から1を生み出す能力に長けている方がたくさんいました。そういった方々との関わりが、今回の大学院進学に大きく影響しました。

 4年制の学校を出るだけで終わるより、修士号を取得し知識と能力を身につけることは、圧倒的に意味のあるものだと思っています。もし自分の知識量に自信がないのであれば、違う形で補うことは絶対にできるので、進路に悩んでいる方がいたらぜひそのことを伝えたいです」