佐々岡体制1年目となった2020年のカープは、投打の歯車が噛み合わず2年連続Bクラスに沈むこととなった。だが悔しい試合が続く中で、積極的な若手選手の起用など、来季への光が見えたシーズンでもあった。

 ここではプロ3年目の今季41試合に登板するなどブレイクを果たしたケムナ誠に、フル回転した2020年シーズンの手応え、そして来季の目標を聞いた。

150キロを超す直球を武器にリリーフとして頭角を現したケムナ誠投手。

◆2021年こそキャンプからのスタートダッシュを目指す

— 秋季練習にはどのような意識を持って取り組まれていたのでしょうか?

「一球一球しっかり球を投げこんで、自分の球の質を高めることを狙いとしていました。特に対右打者への攻め方ですね。どうしても右打者に対して外角中心の攻めになり踏み込まれてきたので、もっと内角を攻め込んでいきたいです。現状では内角を狙った時に上体が突っ込んで、弱い球が行ってしまっているケースもたくさんあったので“狙ったところ”に“強い球”を投げることを意識しています」

— 打者に対する攻め方は昇格直後と終盤で変わってきていたのでしょうか?

「基本的に最初の方は直球とスライダーが投球の中心でしたね。それまではカーブも投げていたんですが、カーブは曲がり幅が大きくストライクに投げられる自信が当時はあまりなかったので。シーズン終盤になってカーブが安定してきてからは、直球とカーブのコンビネーションが活用できていましたね。打者の反応も良かったですし、それを序盤からできたらシーズンの数字が変わっていたかと思います」

 

— 結果を残すことで、徐々に任される役割も変わってきましたが、ご自身の意識に変化はありましたか?

「そこまで意識の差はなく、大量点差があるビハインドでも、僅差の場面でも同じ緊張感で投げていました。ただ、終盤にかけてセットアッパーという立場で投げさせてもらうこともありましたが、塹江(敦哉)のすごさを改めて感じました。緊迫した場面であれだけ投げ切っているのは尊敬しますし、後輩ですけど見習うところ、教わるところはたくさんあります。実際シーズン中に自分の考えを塹江に話してみて、いろいろ意見をもらうこともありました」

— 年齢関係なく良い部分は取り入れていくというスタンスなのですね。

「私生活になれば年齢によって上下関係があるかもしれませんが、野球においては年齢なんて関係ありませんから。自分より技術がある人、うまい人から何か取り込めないかといつも考えています」

— イニングによって投げにくさなどはありましたか?

「投げにくさという訳ではありませんが、7回と8回では雰囲気が全然違いましたね。7回はまだ中盤で動きがあるイニングなんですが、8回は終盤なんですよね。接戦時に8回に1点を失ったりすると、すごくダメージが大きい印象です」