2009年シーズンのサンフレッチェ。懐かしい顔ぶれだ。

◆転機となった1トップでの起用

― そして、昨季途中から1トップになったことも大きな転機になったと思うのですが、一番変わったことは何ですか?

「試合により関われるようになったことですね。以前は『自分の仕事はペナルティエリアの中だ』という自負があって、極端に言えばチームとしてそこまでボールを運べなかったら自分は一切関わっていないというような感じでした。ただ、ボールを引き出すためにポストプレーをこなすようになって、チーム全体の流れが見えるようになってサッカーが楽しくなりましたね」

― プレースタイル自体が変わったと言えますよね。

「ポストプレーをするからこそ、裏への飛び出しも相手からすると捕まえづらくなっていると思います。足下でボールを受ける回数はかなり増えましたし、スタイルは変わったと思います」

― 広島に来て約4年半で通算100ゴール。ハイペースで達成された理由の一つに『ケガが少ない』ことが挙げられると思います。激しいマークに遭う中で、身体が丈夫な秘訣は何かありますか?

「小さなケガは毎試合のようにあるのですが、大きなケガがないのはメディカルスタッフに本当によく支えてもらっているからだと思います。良いものを積極的に取り入れるという姿勢は日本でもトップレベルですよ。正直、サンフレッチェに来るまでは身体に対してそんなに気を使っていませんでした。ただ、『それじゃダメなんだな』と、このクラブに来て感じたんです。身体のことを考えても本当にこのクラブに来て良かったと思っています」

― 多くの人の支えがあったからこその通算100ゴールというわけですね。

「本当にそう思います。J2降格とかいろいろありましたけど、久保会長はミシャ(ペトロヴィッチ監督)を残してくれたし、スタッフの入れ替わりが少ないこのクラブは本当に誇れるクラブだと思います。いろんなクラブでプレーしましたけど、毎年のように監督やスタッフが変わることは当たり前でした。そういう意味では選手と球団の信頼関係も築けていると思います。これからも150、体力の続く限り200ゴール目指して頑張っていきます。本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」

― これから夏場の戦いを経て終盤戦へと続いていきますが、目標をお聞かせ下さい。

「とにかくタイトルを獲る。それしかないですね。昨季はJ2でしたけど優勝したときにシャーレを頂いて、ゼロックスでは優勝カップを掲げました。カップ戦でもあれだけ皆で喜べたということは、J1のリーグ戦や天皇杯でタイトルが獲れればもっと大きな喜びを感じることができると思うんです。あの経験を一度すると、二度、三度とそういう瞬間を味わいたいと思うのは誰でもそうですよね」

― 何よりサポーターもその瞬間を待ち望んでいます。

「その期待は感じているので、応えられるように頑張ります。今、自分のパソコンの壁紙がゼロックスのときにサポーターの前で撮った集合写真なんですけど、タイトルを獲って新しい壁紙に変えたいですね! それができるクラブだと思っているので、優勝に貢献できるようFWとしてゴールという形で貢献していきたいです」

(広島アスリートマガジン2009年8月号掲載・表記、所属等は当時のまま)