◆クラブとしては日本人のアタッカーは絶対に必要

吉田 カズが今言ったように、チームがうまくいかずに全体的に慌てている時に、いかにチームを落ち着かせることができるのか、そしてピッチ上に停滞感があったとしたら、それを自分のプレーでいかに変えていくかという点が今後は求められてくるでしょうね。

カズ ただ、途中出場した湘南戦(11月25日)は川辺自身で得点を決めただけでなく、全ての流れを変えましたからね。そういう片鱗を見せているだけに、外側から見ている身としては、やはり高いレベルのプレーを期待してしまいますね。

─逆に浩司さんとしては、7番を引き継いだ野津田選手への期待も大きいのではないでしょうか?

浩司 そうですね。試合に出ていないぶん悔しい思いはしていると思いますが、しっかり準備はできているでしょうし、レギュラーを脅かすだけの実力を持っていることはサポーターのみなさんもよく分かっているはずです。あとはモリシ(森島)ですね。フリーキックを見ても分かりますが、すごく高い技術を持った選手だと思いますし、二桁得点をしてもおかしくない選手ですから。

吉田 自分としては開幕戦の時点では、サンフレッチェの選手全員を比較的フラットな目線で見ていたので特別誰かに注目するという見方はしていなかったんですが、見ているうちに引き込まれたのは浅野です。試合を重ねるごとに、どんどん注目度合いが高くなっていきました。まだまだ伸びしろを感じさせますし、とても楽しみな選手ですよね。どのポジションでも自分の良さを出せる選手だと思いますし、将来的にはワントップを期待したいですね。ペレイラやヴィエイラがいますが、クラブとしては日本人アタッカーは絶対に必要としているところでしょうから。

【#3に続く】

▼吉田安孝(よしだやすたか)
1966年11月22日生、広島県出身/179㎝、77㎏/現役時はDF。1991年に田辺製薬サッカー部からマツダSCに移籍。Jリーグ発足によりマツダSCがサンフレッチェ広島に。1994年にサントリーシリーズでステージ優勝。1996年に現役を引退。現在は広島テレビ『進め! スポーツ元気丸』などのサッカーコメンテーターとして活躍中。

▼森﨑和幸(もりさきかずゆき)
1981年5月9日生、広島県出身/177㎝、75㎏/現役時はMF。1999年、高校3年時に2種登録選手として広島でトップ登録。同年、クラブ史上初の高校生Jリーガーとしてデビュー。1年目から主力として出場し、新人王を受賞。2017年9月にはJ通算500試合出場に到達。2018年に現役引退。現在は広島のクラブリレーションズマネージャーとして活躍中。

▼森﨑浩司(もりさきこうじ)
1981年5月9日生、広島県出身/177㎝、77㎏/現役時はMF。森﨑和幸は二卵性双生児の兄にあたる。長らくチームの主力として活躍するも、後年はオーバートレーニング症候群など体の不調に苦しんだ。2016年に現役引退。以降は初代アンバサダーとして活躍中。心の病とも戦い続けた兄弟初の著書『うつ白(はく) そんな自分も好きになる』が絶賛発売中。