◆「最後のマウンドに上がる時は涙をこらえることに必死でした」

 そして、9月27日、ウエスタン・リーグでの阪神戦(甲子園球場)が最終登板となりました。試合では狩野恵輔(元阪神)に二塁打を打たれましたが、すがすがしい気持ちもありました。

 それに、試合後の胴上げはうれしかったですね。カープの選手に胴上げされるのはイメージできていましたが、古巣の阪神の選手も出てきて胴上げに加わってくれたのです。狩野や安藤優也さん(元阪神・現二軍育成コーチ)らが声をかけてくれたようで、自分にとって忘れられない一日となりました。でも中には、ほぼ面識のない外国人選手の顔もありましたから、申し訳ない気持ちもありましたね。

 またこの日が甲子園での登板だったこともあり、阪神とカープの両方のファンから声援をいただいたことも忘れられません。これが自分が15年プロ野球選手としてやってきた全てだと思いましたし、マウンドに上がる時は涙をこらえることに必死でした。思い返せば、本当に幸せな野球人生だったと思います。

 今は、大阪電気通信大の硬式野球部でコーチをさせていただいています。指導することの難しさを感じますが、全て自分の貴重な経験になりますし、学生たちには自分が野球をやってきて良かったと思う部分をしっかり伝えていきたいと思います。いつの日か、このチームからプロ野球の世界へ選手を送り出すことが大きな夢です。

 またその他にも、野球を軸にさまざまなことにチャレンジしていきたいと考えています。メディアやイベントを通じ、野球やスポーツの素晴らしさを伝えていきたいですし、実際e‐sportsの分野には既に乗り出しています。『eBASEBALL プロリーグ』というパワプロのリーグにプレーヤーとして参戦し、約2300人中56位でした。自信はあったのですが、合格ラインの20位を突破することはできませんでした。

 ありがたいことにe‐sportsオールスター戦の解説者のオファーも頂きました。残念ながら大学野球のリーグ戦の日程と重なり実現はできなかったんですけどね。

 現役は引退しましたがカープのことは、いつも頭にあります。一緒に自主トレをした塹江(敦哉)もブレイクしましたし、中﨑も必ずや復活してくれるはずです。彼らの頑張りも楽しみにしながら、これからも野球に関わっていきたいと思います。