2003年3月の創刊号以来『広島アスリートマガジン』では、カープの選手やOBなどさまざまなインタビューを収録してきた。この企画では、これまでの誌面を振り返り、印象的な言葉をピックアップ。今回は、ペナントレース終盤までCS進出を争った2008年に活躍した両右腕が紡いだ言葉を紹介する。

2008年に加入したカープ史上最強助っ人右腕と呼ばれるコルビー・ルイス投手。1年目からチームトップの15勝を挙げる活躍をみせた。

◆黒田離脱の危機を救った豪腕助っ人右腕

【コルビー・ルイス(2008-2009年)】
自分ができる以上のことをしようとしたら、絶対に良い結果に結びつかない
(広島アスリートマガジン 2008年10月号)

 2007年オフ、黒田博樹がメジャー移籍したカープ投手陣は危機を迎えていた。その黒田の代役としてカープ投手陣を救ったのが、新助っ人として加入したコルビー・ルイスだ。

 ルイスは開幕から先発ローテションに入ると、力強いストレートを武器に、打者を寄せ付けない圧巻の投球を披露。5月に月間MVPに輝くなど序盤から好投を続け、カープ史上最強の助っ人投手の名を欲しいままにした。

「自分ができる以上のことは期待せず、その範囲内でしっかりと自分の投球をしていくことでいい結果を残せているのだと思います。それ以上のことをしようとしたら、絶対に良い結果には結びつかない。後はいかに早くアジャストできるか。例えば試合で投げていて『今日はあまり良い投球ができないな』と感じたときにどうやって打者を打ち取るか。それはどれだけ早くアジャストできるかということですし、重要なことです」

 勝利数や防御率、奪三振など、投手記録の各部門でリーグ上位につけ、1年目からエースと呼ぶにふさわしい活躍。黒田の穴を十分に埋める活躍を続け、CS進出争いを続けるチームの中心の役割を担った。

「黒田投手はカープで何年も期待に応える成績を残してきました。そういう投手と比べられるのはとても光栄なことです。みなさんに黒田投手と同じくらい、または、それ以上の投球をしていると言っていただけるのであれば、これ以上ない光栄なことだと思います」

 カープ1年目となった2008年、ルイスは、チームトップの15勝、防御率はリーグ2位となる2.68。183の三振を奪い、最多奪三振のタイトルにも輝き、大リーガーの実力を見せつけた。2年目の2009年も、球団助っ人投手としては2人目となる開幕投手を務めるなど11勝を挙げ、2年連続で最多奪三振のタイトルを獲得。わずか2年間の在籍となったが、黒田離脱と危機に見舞われたチームを救う見事な活躍をみせた。