2021年にカープの仲間入りを果たす若鯉7選手が1月8日に大野寮へ入寮する。ここではドラフト指名後に行った独占インタビューをもとに、チームに新風を吹き込む新入団選手の決意を紹介していく。今回は、ドラフト1位・栗林良吏投手の意気込みをお届けする。

栗林良吏投手が背負うことになった背番号20は、かつて北別府学、永川勝浩など時代を代表する投手たちが背負ってきた。

◆マウンドでの負けん気の強さ、投げっぷりを見てほしい

 社会人のトヨタ自動車では1年目から先発として活躍。“社会人NO.1右腕”の看板を掲げカープに入団した栗林良吏。大きな期待を背負い、プロでの生活をいよいよスタートさせる。

「カープは2016年から3連覇を果たしたセ・リーグを代表する強いチーム。印象としては、若い選手が多く、若手をうまく起用しているという印象です。僕は24歳で、カープのなかでは若手と呼ばれないかもしれないので、1年目から結果を残さないとすぐに置いていかれるという危機感は持っています」

 力強い速球を武器に、打者に負けない気迫に前面に押し出し、マウンドでの躍動を誓う。

「社会人のなかでは投げっぷりはいいほうだと思うので、そういう負けん気の強さをマウンドでみせたいですね。トヨタでは、負けたら終わりの試合で投げてきました。だからマウンドでは自然と気持ちが出ます。その投げっぷりの良さがアピールポイントになるか分かりませんが、そこが持ち味なので、プロのマウンドでも自分を表現していきたいと思っています」

 大学から本格的にスタートした栗林の”ピッチャー”としての軌跡。大学2年の冬に出会った1人のコーチとの出会いが、栗林の投手人生を大きく変えた。

「投手コーチとして来てくださった元中日の山内(壮馬)さんから投手としてのすべてを教わりました。もともと野手をやっていて、野手の延長で、速いボールを投げれたらいい、変化球も大きく曲がればいいと考えていました。ただ、山内さんと出会い、投手の心構えや立ち振る舞いなどを学んだことで意識が大きく変わりました。山内さんと出会えたからこそ、今の僕があると思っています」

 山内コーチは大学生・社会人ドラフト1位(2007年)で中日に入団。そこで経験した”ある失敗”をもとにアドバイスを受けたという。

「山内さんは1位指名ということもあり、最初から焦って調整しなくてもいいと思われていたそうです。その結果、出遅れてしまった。それを踏まえて、特に僕は社会人出身なので、スタートからしっかりアピールして、一年目から活躍できるようにがんばれと言ってくださいました」

 トヨタ自動車の選手として最後の試合となった昨年11月の都市対抗野球。栗林は初戦に先発し7回2失点。13三振を奪う快投を見せたがチームは初戦敗退。栗林は有終の美を飾れなかった悔しさを抱えて、プロ入りに向けて準備を重ねてきた。

「三振を13個奪ったことを評価されますが、本塁打を1本打たれてしまいました。初戦の先発を任された身としては、一番やってはいけないこと。プロ野球のペナントレースだと、7回2失点は評価されるかもしれませんが、一発勝負の社会人の世界では、三振ゼロで7回無失点のほうがよっぽど評価されます。なので悔しさと、チームへの申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。プロで活躍して、チームメートにいい報告ができるようにしたいですし、都市対抗では、豊田市を背負って戦っていたので、カープの一員となったからには、広島の想いを背負い、広島が盛り上がるように頑張ります」

 プロでの奮起を誓う栗林に託された背番号は北別府学、永川勝浩がつけてきた「20」。歴代レジェンドが身につけた背番号を身に纏い、マウンドに立つ。

「大学の時に20番をつけていて、個人的には愛着がある番号なので、20番をつけさせてもらえると聞いた時はうれしかったですね。ただカープでは非常に重みがある番号。北別府さんや永川さんのように、チームの顔と呼ばれる選手にならないといけないと思っています」

 1年目から一軍でチームの勝利の貢献するべく、与えたれた場所で、これまで培ってきたすべてを表現していく。

◆栗林良吏(くりばやし りょうじ)
1996年7月9日生
24歳/右投右打
178cm・83kg
愛知黎明高ー名城大ートヨタ自動車