右肩のケガで出遅れたものの、攻守にわたる献身性で再びポジションを奪い返した稲垣祥。ボランチに返り咲いてからはチーム状態も安定し、リーグ終盤まで優勝争いを演じてみせた。文字にすれば同じ『V逸』でも、終盤で大失速した昨季と今季とでは内容的にまったく意味合いが違う。信頼を勝ち得たボランチが、新たな可能性を示したチームの現状を語る。

— リーグ戦も大詰めを迎えました。いろいろと思うところもあると思いますが。

 「結果にこだわることも重要なんですけど、自分たちが何を積み重ねてきたか、何を良さにしてこの位置を保ってきたかというのを、各自が共通認識として共有しておくことが重要だと思います。その意識を大事にしながら一戦一戦、戦っていきたいですね」


— 今季は右肩鎖関節亜脱臼の影響で開幕戦には間に合いませんでした。

「プロ生活6年目でそういうケガでの離脱が初めてだったので、慣れない部分が多かったです。自分がサッカーをしていない状況で、周りが常に練習しているという環境に最初は違和感や焦りを感じたときもありました。でも一歩引いて客観的に自分の状況、チームの状況を見ることができましたし、スタッフがこういうところでも仕事をしてくれているんだとか、いろんなところを見られたことはすごく良かったです。ケガをすることで改めて周囲に支えられているということを再確認できましたし、選手としても人としても良かったと思います。全体の器が広がった感じが今でもするので」