昨季、二軍でセーブ王に輝いた田中法彦投手。一軍デビューも果たし2試合を無失点。今季の一軍ブルペン定着に期待がかかる。

◆昨季の二軍セーブ王、一軍ブルペン定着なるか

田中法彦
<2020年成績>
一軍:2試合/0勝0敗/防御率0.00
二軍:25試合/1勝1敗12セーブ/防御率1.73

 昨季カープがBクラスに沈んだ要因の一つがリリーフ陣の不調だ。リーグ3連覇を支えた実績のあるリリーフ投手が結果を残せず苦しんだ一方で、塹江敦哉やケムナ誠などの若い力が台頭し、数多くの若手投手に一軍登板のチャンスが与えられた。

 その機会は、昨季ウエスタン・リーグで“クローザー”として活躍を続けていた、高卒2年目の田中法彦にも巡ってきた。力強さを感じる強靭な下半身から繰り出すキレの良い直球、僅差でも動じない心の強さを武器に、登板を重ねるごとに結果を残していった。

「昨年は特にストレートの質を意識していました。シュート回転する球が多かったのですが、徐々にきれいな回転の球を投げられるようになってきました」

 昨季、田中は投球フォームにある変化を加えた。投球の際に体が開きがちになる癖を修正したことで、直球、変化球ともに精度が向上。また、カットボールとスプリットという2つの“新球種”を覚えたことで、投球の幅が広がった。

「カットボールは昨季から投げ始め、空振りが取れる球になってきました。またスプリットは6月頃から投げ始めて、こちらも手応えのある球になっています」

 二軍の守護神として25試合に登板。1勝1敗12セーブ、防御率1.73という安定した成績を残したことが評価され、ペナントレース終盤の10月に一軍昇格が決まった。

 プロ初登板は10月29日のヤクルト戦(マツダスタジアム)。2番手としてマウンドに立つと、持ち味の直球主体のピッチングでヤクルト打線を三者凡退。1イニングを無失点に抑え、確かな手応えをつかんだ。

 田中は、一軍で2試合に登板し、いずれも無失点。二軍ではウエスタン・リーグのセーブ王にも輝いた。初めての一軍春季キャンプに抜擢された右腕は、プロ3年目の今季、一軍ブルペン陣に名を連ねることができるか。キャンプでの猛烈アピールに期待したい。