コロナ禍で揺れるなか、プロ野球の春季キャンプが目前に迫ってきた。カープは一軍が沖縄、二軍は日南でキャンプを実施。1月19日にはメンバーの振り分けも発表された。例年と違って厳しいウイルス感染防止対策が敷かれる異例のキャンプを、カープOBの大野豊氏が事前解説する。

昨年、右肘を手術した大瀬良大地投手は、二軍キャンプ(日南)からのスタートとなった。

◆規制の中での春季キャンプ。求められる精神面の維持

 今年の春季キャンプは一軍が沖縄、二軍が日南で例年のような場所の入れ替えはありません。コロナ禍の中で誰も経験したことのないキャンプを迎えるわけですが、選手たちは昨シーズン中と同様に難しい調整を迫られると思います。

 キャンプはシーズン開幕に向け野球漬けの毎日を送る期間です。それはプロ野球選手として当然のことなので問題はないのですが、今年は休みの日も外出が規制されるなど自由が利かないことが予想されます。そのストレスを抱える中で、どう精神面を維持していくか。故障しないことはもちろんですが、今年は精神面を維持することも同じくらい重要になるでしょうね。

 今年のカープは当面の間無観客でキャンプが行われることが決まりました。しょうがないこととはいえ、選手からしたら、そのあたりも寂しいでしょうね。

 ファンがスタンドから見ていてくれるからこそ「変なところを見せられない」「元気を出さないといけない」という気持ちでやる選手もいるはずです。もちろん、ファンの目がないと緊張感を保てないようではダメなんですが、今年のキャンプはより自分で自分を律することが求められてくると思います。

 キャンプのポイントは、やはり課題となっている投手陣です。先発陣は頭数が揃いつつありますが大瀬良や野村は手術明けですし、そこは気になるところです。あとはドラフトの上位3選手。栗林、森浦、大道ら即戦力の期待をかけられて入団した投手が、どのレベルで投げてくれるのか。

 その上でセットアッパー、クローザーという後ろの部分を、どれだけキャンプ中につくり上げることができるか。そのあたりが注目ポイントになると思います。もちろん新外国人投手も含めて、状態を測るのはオープン戦ということになりますけど、リリーフ陣をどこまで底上げできるか、というのが今季のカギになるのは間違いありません。誰がクローザーを務めるのかまだ分かりませんが、昨季のように開幕の時点でも陣容が固まり切っていないという状況だけは避けなければなりません。