3年ぶりのリーグ制覇を目指すカープの“新戦力”として注目を集める河田雄祐一軍ヘッドコーチ。かつて2016年、カープのユニホームに20年ぶりに袖を通した河田コーチは一軍外野守備走塁コーチとして、選手たちを熱血指導。25年ぶりの優勝を成し遂げたチームのキーパーソンとして、存在感を高めていた。

 今回は、一体感のあるチームを形成するきっかけにもなった“コミュニケーション”の視点から、河田コーチの選手指導への思いを紐解いていく。

今季、4年ぶりにカープのユニホームに袖を通す河田雄祐コーチ。2年連続でBクラスに沈んだチーム再建に期待がかかる(写真は2016年撮影)

◆チームの結束力を高めた河田流コミュニケーション

 2016年に一軍外野守備走塁コーチに就任した河田コーチは、“積極性”をキーワードに、当時のチームの“走塁”と“守備”の意識を大きく変えた。失敗を恐れず、常に仕掛けることを忘れないプレーは、徐々にチームに浸透し、他球団を圧倒していった。

 そして河田コーチは、選手の気持ちに寄り添っていた。時に熱く、時に厳しく、そして時に優しく。鈴木誠也や野間峻祥といった当時の若手選手、松山竜平や赤松真人などの中堅どころにも、分け隔てなくコミュニケーションをとった。

「現役時代にお世話になったチームで野手を見させていただくことになったので、私は冗談で『ワシはカープの先輩だぞ』と言っているんです。カープの先輩面をして、みんなとコミュニケーションをとるようにしていますし、若い子が嫌いじゃないんです。誠也なんて、私の息子よりも年下ですから。最近は親の気持ちにもなったりしていますよ(笑)」(『広島アスリートマガジン』2016年9月号)

 そして練習時から自ら積極的に声を張り上げ、チームの雰囲気を明るくし、“結束力”を醸成させていった河田コーチ。選手指導における信念について、当時から以下のように話していた。

「一番は私たち指導する立場が根気を持つということですね。こちらが離れてしまうと選手も離れていきます。私は“最後まで選手と付き合っていくことがコーチの役割”だと思います。ときには、私がキツく言って選手が距離を置くこともあるでしょう。その場合、選手から距離を詰めようとすることはあまりありません。その状況になったときは、こちらから近づいていかないといけないと思っています。とにかくコーチがどんどん選手に話しかけていかなといけないと思いますね」(『広島アスリートマガジン』2016年9月号)

 2017年以来、4年ぶりのカープ復帰となる河田コーチ。今回は、外野守備走塁コーチではなく、ヘッドコーチとして、同学年の佐々岡真司監督を支えながらV奪回を目指すチームづくりに臨む。2年連続でBクラスに沈んだチームをどのように立て直し、栄光へと導いていくのか、リーグ3連覇の礎を築いた熱血コーチの手腕に期待がかかる。