その頃、野球人生を変える出会いがあった。楽天の二軍内野守備・走塁コーチに酒井忠晴が就任。酒井は修徳高でピッチャーとショートを経験していた。プロ入り後は中日、ロッテなどで活躍し、高い守備力で1034試合に出場した。酒井の指導法はユニークだった。基礎の反復よりも、ランニングスローやグラブトスなど応用の指導から入っていった。

 「普通は腰を落として低い位置で捕球。そんなところからやるでしょうが、まぁ、それは学生時代もやってきていますよ。むしろ、プロで通用するプレーや一番難しいプレーをやってもらいました」

 そこには酒井の深い考えがあった。

「上達するために必要なのは、興味を持つことです。楽しいことには人は興味を持ちます。興味を持てば、選手から特守をリクエストしてきたりするものです。特に二遊間の選手は、守りがダメだと一軍に定着できないと思います。三好はもともとの打撃の評価が高いので、守備が良くなればさらにチャンスがあると考えました」

 三好もそのポイントは把握していた。

「打撃でも評価してもらってプロに入れましたが、一軍でチャンスをもらって、簡単に結果は残せませんでした。スイングに癖はなかったですが、スイングの力が十分ではありませんでした。それに、守備がしっかりしていないと使ってもらえないと感じました。自分がエラーをして失点する場面もあったので、守備が大事だとつくづく思うようになりました」

 酒井の指導もあり、三好は守備の練習にますます力を入れるようになった。

 「打球の捕り方ひとつとっても、いろいろ教えてもらいました。いろんな形を教えてもらうことで、守備が面白いと思うようになりました。それまでは守っていてもガチガチに固いタイプで、ファンブルも多かったですが、柔らかく守ることができるようになって、ますます守備が楽しくなっていきました」