◆プロ野球の世界をリアルに感じた大学時代

 当時は目の前のことに必死で、その先のことはぼんやりとしか考えていませんでした。ただ、4年生になったある日、監督から、複数のプロ球団からドラフト指名の話が来ていると聞き、この時初めて、プロ野球の世界をリアルに感じました。その時、話をいただいた球団の一つがカープでした。

 プロ野球選手は子どもの頃からの夢でしたが、正直、プロの世界で野球をやっている自分の姿はまったくイメージできなかったんです。これからの連載でもお話ししますが、僕は究極のマイナス思考の人間。それだけにプロでやっていく自信はありませんでした。

 よく言えば用心深い性格かもしれませんが、他の選手より、何かが優れているという自信はなかっただけに、そんな自分がドラフトにかかるとは思っていませんでした。

 ドラフトでカープから指名された時はうれしかったですが、まだ半信半疑の状態でした。実感が湧いたのは、指名直後の金本(知憲)さんとの電話です。監督が東北福祉大のOBの金本さんに電話をしてくれたのですが、緊張して緊張して……。

 電話越しに直立不動で挨拶をして、最後はお辞儀していました。入団会見でも、当時の山本浩二監督のオーラに緊張して会見で何を話したか覚えていません。おそらく当たり障りないことを話したはずです(苦笑)。

 こうして、カープでの19年間にも及ぶプロ野球人生がスタートしました。プロ野球選手として、たくさんの成功と失敗、人生を変える数々の出会いが待っているのですが、そのあたりは次回以降、お話しさせていただきます。(続く)