逆に「自分もプロでやっていけるのでは」と感じた点はありましたか?
野村 いや、それはありませんでした。すごいな、と思うことばかりでしたね。

プロの中にはカープの前田健太投手もいました。投球を見られていかがでしたか?
野村 前田さんが投げられるのを自分はベンチで見ていたんですが、球がすっごく速く見えたんです。高校、大学と上がってきていろんな投手を見てきましたが、その誰よりも速くて、「速い!!」と思って球速表示を見たら140キロだったんです。それでさらに驚きました。

その数字だけで言えば、大学生でもたくさんいる球速ですね。
野村 大学生どころか高校生でも140キロ投げる時代じゃないですか。普通の140キロは速いと思わないんですが、前田さんがバンと投げる140キロはすごく速くて、見たことのない140キロでした。球の質が違うんだと思いますが、「これがプロの球か」と衝撃を受けましたね。

前田投手がタイトルを総ナメにする前年のオフでした。
野村 打者の大学生も「こんな球見たことがない」と言いながらベンチに帰ってきていましたし、これが一軍で活躍する選手の球かと思い、投手三冠も納得いくものでした。

他に印象に残った選手はいますか?
野村 出場されていたのは坂本選手(勇人・巨人)だったり松本選手(哲也・巨人)だったり、天谷選手(宗一郎・広島)、新井選手(貴浩・阪神)、亀井選手(義行・巨人)、T-岡田選手(オリックス)とか、一軍の主力でやられている選手ばかりでした。どの選手というよりも本当にみんなに圧倒されて、自分は今のままでは絶対無理だと思いましたし、考え方が変わりました。