3月30日に今季初登板を迎えた森下暢仁が、6回1安打無失点の好投を見せた。はたしてカープの歴代新人王は、翌年のシーズンをどのような成績で乗り切ったのだろうか。主要データと共に、彼らのプロ2シーズン目を振り返る。

2021年よりカープの三軍投手育成強化コーチに就任した澤﨑俊和。

【1986年新人王 長冨浩志】「快速球を武器に奪三振を量産」
<1986年>30試合/10勝2敗2セーブ/完投6/完封1/121.1回/防御率3.04
<1987年>18試合/5勝6敗/完投5/完封2/114.2回/防御率3.38

 社会人野球を経て1985年ドラフトで1位指名され入団した長冨が、初年度から下馬評通りの投球を披露した。

 150キロを超える速球を武器に、他チームの並み居る打者を翻弄。投手陣の層の厚さもあり8月まではリリーフ起用が続いたが、8月12日の大洋戦で初先発を託されると見事勝利投手に輝いた。以降も奪三振が魅力の速球派として、先発ローテーションの一角に食い込み2年ぶり5度目のリーグ優勝に貢献した。

 夏場以降だけで6完投、1完封を含む8勝をマークし、文句なしの新人王に輝いた。球団では小早川毅彦、川端順に続く、3年連続での所属選手の新人王獲得となった。2年目の勝ち星は半減したものの先発登板は18回。北別府学、大野豊、川口和久、金石昭人らと投手王国を形成し、三振を奪える速球派右腕としてチームに貢献した。

【1995年新人王 山内泰幸】「独特の“UFO投法”で打者を幻惑」
<1995年>34試合/14勝10敗/完投5/完封1/163.1回/防御率3.03
<1996年>46試合/11勝8敗/完投2/完封2/117.2回/防御率3.90

 1994年に球団初の逆指名選手としてカープに入団した山内泰幸。プロ初登板初先発となった4月11日の阪神戦で初勝利を挙げ上々のスタートを切ったが、その後は打ち込まれ5月中旬から中継ぎへの配置転換となった。

 しかしこの変更が功を奏し、5月だけで4勝を記録し月間MVPを受賞。6月中旬から再び先発として起用されると、その期待に応えてプロ初の完封勝利を挙げた。その後も順調に勝ち星を伸ばし、オールスターゲームにも出場した。

 9月中旬から5試合連続で敗戦投手になるなど終盤はやや失速したが、最終的には14勝10敗とルーキーながらチーム2位の勝ち星を記録した。右肘を高く上げる独特の『UFO投法』も話題となり、カープ選手としては9年ぶりの新人王となった。

 プロ2年目の1996年も46試合に登板し、ルーキーイヤーに続き二桁勝利をマーク。2年連続での活躍で、1997年には開幕投手に抜擢されている。