◆一軍で10年間はレギュラーマスクをかぶれる選手に

 課題としては、まだ金属バットで染み付いた打ち方が抜けきっていません。具体的にはスイングの一連の流れで、反動を使って伸び上がって打っている部分が問題です。それでも打つことができているのは、バットで球にコンタクトする能力の高さの賜物ですが、プロの世界では、逆に体を沈み込ませるぐらいの意識を持たなければいけません。

 この点については、春季キャンプで中村奨を見た多くのOBの方からも指摘された点です。中村奨は下半身の使い方を変えていけばもっと良い打球が飛ぶようになると思います。また彼は今スイングの改良と平行して、体づくりを行なっています。入団当初から見れば、少しずつ肉づきは良くなっているのではないでしょうか。

 今は本塁打を打つなど結果が出ている部分もありますが、個人的な考えで言えば今は100打数0安打でも良いんです。今の段階では『うまくヒットを打った』とか『3割を打った』ということはコーチ陣も彼に求めてはいません。とにかくどっしりと、あくまでも“一軍のレギュラーになるため”何をするべきなのかを、今はじっくりとしっかり学んでほしいと思います。

 今後の指導について1つの目標として考えているのは、彼と同年代の選手が大卒選手として入ってくる頃に、どれだけの選手になっているかということです。逆に言えば、その時点ではある程度一軍で勝負できる選手にまで育っていってほしいと願っています。

 彼は一軍の3番手捕手を目指す訳ではありません。一軍で10年間は不動のレギュラーとしてマスクをかぶれる選手へと成長してほしいですし、そのために今はとにかくスイングの基本と体づくりに徹してほしいと思っています。