◆G大阪戦から再び新システムを採用

 では試合について触れていきましょう。まずは3月17日の清水戦(○1–0)ですが、相手が前年16位に沈んでいるとはいえ、C大阪を飛躍させたロティーナ監督を招聘し、選手の補強にも成功していました。決して侮ることはできない相手でしたが、サンフレッチェは荒木があげた1点を粘り強く守り抜き、今季初となるクリーンシートを達成しました。

 ここで勢いがつき、続く大分戦(○3–1)は先制点を奪われながら、終わってみれば2点差をつけての快勝。昨年は先制された試合では引き分けに持ち込むのが精一杯でしたが、久々に逆転勝ちを収めることができました。

 試合内容もベテランから若手までがうまく融合するという、本当に素晴らしい内容でした。フォーメーションを変更したのも得点力の向上を狙ってのことですし、その意味ではダメ押しの3点目を奪って勝利することができたのは大きいです。

 3点目を奪ったのは鮎川ですが、あの場面は中央のサントスにパスを出すという選択肢もありました。ただ、その中で自分でゴールを決めに行った姿勢は素晴らしかったと思います。キーパーとの1対1は決して簡単ではないですからね。そこをしっかり決め切ったのは大きいですし、FWは点を奪ってナンボですから、あのプロ初ゴールもチームにとって非常に価値のあるものになりました。

 続くG大阪戦は冒頭でも少し触れましたが初めて『4–3–3』で臨んだ試合です。その意味では、少しやりにくさもあったでしょうね。良い機会ですので、このフォーメーションについても少し触れておきましょう。

 この戦術でやりたいことというのは、3トップの両ウイングがサイドに張ることで相手のDFを横に広げたいんです。広げることで中央にスペースをつくって、そこにインサイドハーフの選手などが絡んで局面を打開する。それが狙いなんですが、G大阪戦に関しては選手の距離感が少し広すぎて、サポートに行くタイミングがワンテンポ遅れたり選手が孤立する場面が目立ちました。