引き分けを挟んで6連敗と、ここへきてカープが苦しい戦いを強いられている。借金5で下位に沈むカープの現状を、OBの笘篠賢治氏が独自目線で分析する。

途中出場ながら、4月30日の阪神戦で2安打を放った田中広輔選手。

 しんどい戦いが続いていますね……。ヒットが全く出ていないわけではないのですが、打線がいまいち噛み合わず、なかなか得点に結びついていません。

 先週のカードを振り返る中で、“勝負をかけるタイミング”という部分で気になったところがありました。5月3日の巨人戦。2対2と同点に追いつかれた直後の6回裏、二死一・三塁のチャンスでクロンがショートゴロに倒れた場面です。

 巨人はクロンの打席の前に投手を先発の畠から鍵谷に交代し、先に勝負を仕掛けてきました。鍵谷はシュート系の右打者の内角を突く球を持っていますし、スライダー、フォークも投げてくる投手です。

 もちろんクロンに期待をかけたくなる気持ちは分かります。ただ、クロンは2回の第1打席で空振り三振、4回の第2打席は一死一塁で5-4-3のダブルプレーと結果が出ていませんでした。ここは流れを変えなければならない場面ですし、ベンチには松山が控えていました。

 松山が打つ、打たないは別として私としては、ここは代打を使った方が良かったのではないかと思っています。結果、試合の流れが巨人側に傾き、次の回にはウィーラーに勝ち越し弾を浴びて2対3で敗戦となりました。

 あの場面は「向こうが勝負をかけてくるなら、こっちも勝負をかけてやるぞ」「ここで点を取りにいくぞ」というのを見せなければいけない場面だったように思います。試合の中で、そういう“勝負をかけるタイミング”っていうものはあるんですよ。そこを逃していては勝てるゲームもなかなか勝てません。

 選手に任せて試合を進められるというのは理想的ではあるのですが、ヒットエンドランとかも、あまり使わないですよね。打てなかった、つながらなかった、点が取れなかった。それを選手だけの責任にしてはいけません。攻撃の勢いを生むためにも首脳陣が仕掛けるシーンをもっと見せてほしいです。