4番候補として期待を集めたケビン・クロンが苦しんでいる。ここまで26試合に出場し、打率.225、3本塁打、7打点と、持ち味の長打力を発揮するまでには至っていない。

 しかしながら、カープが巻き返すにはクロンの覚醒は必要不可欠。そこで、ここでは期待の意味も込めて、打撃タイトルを獲得した歴代外国人選手の足跡を振り返る。

2019年9月に引退を発表したエルドレッド。現在はカープの駐米スカウトを務めている。

◆1987年『本塁打王』 リチャード・ランス
「三振か? ホームランか? 一発逆転のバットでファンを魅了」

<121試合、88安打、『39本塁打』、83打点、打率.218>

 安定感という言葉の対局に位置した男、それがこの男ランスだ。当たれば飛ぶが、不調に陥れば途端に“扇風機”と化す。1986年に引退した山本浩二の代役として球団が3年ぶりに獲得した外国人選手だが、“ポスト山本”としてはあまりにも博打がすぎる打撃内容であった。

 規定打席に達した打者のなかで最低の打率を記録しながらも本塁打王に輝き、カープの外国人選手として初めての打撃タイトルを獲得した。三振か、ホームランかという豪快でパワフルな打撃は、ファンの心に強烈に印象づけられた。