カープが新型コロナウイルスの影響で、先行き不透明な状況に追い込まれている。ただ、そんな状況下でも希望が持てるのが若鯉たちの活躍だ。ここでは交流戦を迎えるまでのシーズン序盤の戦いを、カープOBの大野豊氏が独自目線で総括する。
(数字は5月24日現在)

セーブランキングに名を連ねる15投手の中で、もっとも多く三振(29個)を奪っている栗林良吏投手。

◆栗林の快投を支える四球の少なさ

 5月に達成された喜ばしい記録の話からしていきましょう。ドラフト1位で入団し、クローザーとして大車輪の活躍を見せてくれている栗林良吏が、5月4日の巨人戦(マツダスタジアム)で、プロ初登板から14試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立しました。

 春季キャンプの時点では、先発とリリーフで役目がはっきりと決まっていませんでしたが、オープン戦で無失点登板を重ね、佐々岡監督からクローザーに指名。開幕以降、その抜擢に応える活躍を続けています。期待が大きかったとはいえ、予想以上の活躍といっていいでしょう。

 決め球であるフォークボールがクローズアップされることも多いですが、ストレートをしっかり投げることができているので、落差のあるフォークも鋭く曲がるカットボールも活きています。注目すべきは奪三振数。新記録を達成するまでの14試合のうち13試合で三振を奪っています。この三振を奪う能力は、クローザーとして投げていくうえで大きな武器となります。

 栗林はフォークをストライクゾーンからボールゾーンに落とす時もあれば、ストライクゾーンの中で落とす時もあります。低めだけに固執しないゾーンを幅広く使う意識が、栗林のフォークの魅力でしょう。

 また制球力も素晴らしいものがあります。全球種でストライクが取れ、なにより四球が少ない(17試合で7四球)。ストライク先行の投球ができているのも栗林の持ち味ですね。

 三振を奪える、四球が少ない、ランナーがいる状況でも捕手の要求通りに球を投げることができる。クローザーに必要な条件を栗林は満たしているだけに、今の投球をシーズンを通して続けていってもらいたいです。

 逆に栗林が安定しているだけに、数多くセーブがつく場面でマウンドにあげたいですね。理想を言えば、新記録を達成した試合も、セーブと共に達成させてあげたかったところです。