背番号は時に選手の代名詞として語られるなど、アスリートにとって大きな意味を持つことも少なくない。ここではカープの選手に特化し、時代を彩った名選手の足跡を背番号と共に振り返る。 

今季、ブレイクの予感が漂う3年目の林晃汰選手。

 今回テーマとする背番号は「44」。ドラフト入団組が初めて着ける例もあれば、他球団からのトレード組が使用する例もあり、あるいは助っ人外国人に与えられる場合もある。「44」の歴史を眺めると、ポジション的にも経歴から見ても、確固たる傾向を見出すのは難しい。

 一般的によくあるのは、こういった「大きめ」の番号で頭角を現すと、10番台などの若い番号に移行して活躍するというパターン。これまで当欄で見てきた背番号でも、そういうステップを踏んできた選手は多い。だが逆に、背番号が大きくなるほど存在感を増した選手もいる。以前「37」のコラムでも紹介した松山竜平がそれだ。

 松山が大学・社会人ドラフトで4巡目指名を受け、2008年に入団したことは「37」で触れた。5シーズンプレーして一軍に定着した時期もあったが、2014年にはケガもあって出場試合数が減り、ドラフト1位の野間峻祥に譲る形で自らは「44」に変更。迎祐一郎が引退したために空いたというタイミングだった。入団時の「37」に愛着を抱いていた松山だったが、ケガに泣かされたこともあって、この変更を発奮材料に復活を果たした。

 「44」初年の2015年は、一軍で開幕を向かえ、やはり故障欠場はあったもののシーズン中盤は好調の波に乗り、復活の兆しを見せる。代打や指名打者など様々なポジションで可能性を試した年でもあった。

 そして翌2016年にはスタメン起用が増し、優勝を決めた巨人戦(東京ドーム)で勝ち越し本塁打を放つなど、25年ぶりのリーグ制覇に大きく貢献。そこから2017年、2018年にかけての復調ぶりは、チームのリーグ3連覇と歩みを揃えた。安定感を増した打撃は完全に戦力の一角を形成し、欠かせない存在に。2018年オフには自らの意志で、尊敬する嶋重宣や交流のあったエルドレッドが使用していた「55」に変更し、なおも安定したプレーを見せている。プロ14年目でベテランと呼ばれるようになったが、まだまだ活躍が見たいところだ。