今季、NPB最速タイの165キロをマークしたコルニエル投手。

 前半戦を4連勝でフィニッシュして最下位を脱出したカープ。オールスター、東京五輪による中断を経て迎える後半戦では、さらなる巻き返しが期待される。

 後半戦に向け、チームの立て直しを図るうえで前半戦の検証は不可欠。ここでは「投手陣」に絞って現状の課題を考察してみる。

 前半終了時点でカープのチーム投手成績は以下の通りだ。

防御率/3.87(リーグ5位)
先発防御率/4.14(リーグ4位)
救援防御率/3.41(リーグ3位)
QS率/52.4%(リーグ3位)
奪三振/577(リーグ6位)
失点/349(リーグ5位)
自責点/308(リーグ4位)
与四球/281(リーグ5位)
被本塁打/72(リーグ3位)
※QS=先発投手が6回以上を投げ、自責点3以内に抑えること。

 これらの数字を見ても分かるように、突出して悪い項目があるわけではない。リーグ最下位の奪三振数も、5位の阪神とは1個差。なにより、阪神は奪三振数がリーグ最下位にもかかわらず、同防御率は2位だ。

 その一方で、「この項目が特に良い」と言える数字がないのも事実。ほぼすべての項目がリーグ4~5位で推移しており、ルーキー・栗林良吏が話題をさらったにもかかわらず、救援防御率はリーグ3位。森下暢仁がリーグトップとなるQS率(92.3%)を記録していても、先発投手陣全体のQS率はリーグ3位にとどまっている。

 チームの「顔」と言える選手が結果を残していても、チーム全体の数字がそこまで上がっていない現状を考えると、後半戦は突出した「誰か」ではなく、2人目、3人目の「顔」が出てくる必要がある。

 先発で言えば、その筆頭格は大瀬良大地だ。エースとして3年連続で開幕投手を任された今季は、怪我による途中離脱の影響もあって前半戦はわずか3勝に終わった。しかし、防御率3.74も本来の実力を考えるとやや物足りないが、11試合の先発で実に9度のQSを記録しており、先発としてしっかりと試合は作れている。打線とのかみ合わせさえよくなれば、後半戦はおのずと勝ち星もついてくるはずだ。

 また、高卒2年目の玉村昇悟も一軍に定着。先発ローテーションできっちりと結果を残しており、後半戦は勝ち星の上積みも大いに期待できる。

 救援陣では塹江敦哉がチーム最多の15ホールドを記録しているが、ここにきて話題をさらっているのがコルニエル。昨季9月に育成契約で入団し、今季開幕前に支配下登録と急成長を見せると、勢いそのままに一軍のブルペンに定着。6月20日には大谷翔平に並ぶNPB最速タイの165キロをマークするなど、剛腕ぶりを発揮。5月に大きく調子を崩していたが、6月以降は持ち直しており、後半戦はセットアッパーとしてチームを支えてほしい。

 リーグ戦の再開は約1カ月後の8月13日。長い中断期間はリーグ界のチームにとっては戦力を立て直すチャンスでもある。前半戦終了時の勢いを持続しつつ、ここで紹介した選手らが自分の仕事をキッチリとこなしてくれれば、上位進出も見えてくるはずだ。