エキシビジョンマッチが始まり、後半戦に向けてスタートを切ったカープ。夏場以降、巻き返しを図るうえで期待のかかる若手先発投手2人について、カープOBの大野豊氏に聞いた。

カープ・玉村昇悟投手。

◆何よりも評価したいのは先発としての役割を全うしていること

 前半戦の誤算は6月。新型コロナウイルスの影響で離脱者が出る予期せぬアクシデントに見舞われたとはいえ、6勝16敗3分と大きく負け越し、苦しい1カ月となりました。投手陣を見ていくと、6月は、先発陣の月間防御率が5.56と、先発が試合をつくれないゲームが目立ちました。ただ、そんな中でも、先発に抜擢された玉村昇悟と大道温貴の若手2人の活躍は今後の戦いに希望を持たせてくれるものでした。

 まず玉村ですが、高卒2年目であれだけ安定感のある落ち着いた投球ができているのは大したものです。何よりも評価したいのは先発としての役割を全うしていること。これまで8度先発し、5回を投げきれなかった試合は一度もありません。右打者にも左打者にも、内角にしっかりと投げ切れる度胸があり、外角の出し入れも丁寧に制球できているので、ストライクゾーンを幅広く使って勝負できています。四球で崩れるイメージもないので、自分のペースの中で打者と対戦できているように感じます。やや遅れ気味で腕が出てくる投球フォームなので、打者としてもタイミングが取りづらく、球速以上のノビとキレを感じているのかもしれません。

 次にルーキーの大道ですが、開幕からリリーフで投げてきてシーズン途中の先発転向にもしっかりと対応していると思います。先発調整のための投げ込みもそこまで出来ていないでしょうから、非常に難しい調整だったと思いますが、登板を重ねるたびに良くなっているように感じます。

 ただ、一つ気がかりなのは、良い球と悪い球のばらつきがある点です。大道の魅力は、投げっぷりの良さですが、先発は安定感を求められますから、コントロールを意識するのも大事です。そして、長いイニングを投げるには、腕だけではなく、下半身をうまく使う必要があります。力を重視して、体を目一杯使って投げると、力強い球を投げられるかもしれませんが、球数が増えれば疲労も早いですし、球のばらつきを生むことがあります。先発として投げていくのであれば、下半身のより良い使い方を覚え、粘り強く投げるコツを磨いていってほしいと思います。

 いずれにしても、玉村と共に期待が大きい選手には違いありません。2人にとっては大きなチャンス。後半戦も先発ローテに入ってくるでしょうから、自分たちの持ち味をしっかり出して投げてくれることを期待します。