そして外野一本で臨むことになった2015年春季キャンプ。当時カープの外野陣は丸佳浩が不動のセンター、レフトはエルドレッド、松山竜平らが争っていた。鈴木はドラフト1位で入団した野間峻祥とライトのポジションを争うという位置付けにいた。

「一緒に練習する機会が多いですが、僕は野間さんの良い部分があれば、参考にしたいですし盗みたいと思っています。たとえ野間さんとレギュラーを争って僕が負けたとしても、それは僕に実力がないだけなので、そこは割り切っています」

 自主トレの成果は春季キャンプで早速現れた。打球の飛距離も伸び、3月には正式に外野手として登録された。ちなみに現在の姿からは想像しづらい部分もあるが、2015年春の時点では『1番・ライト』が本人の中で一番しっくりくるポジションだった。

「ライトに定着して1番を打ちたいです。数多く打席が回ってきますし、僕は初回に打席が回ってくる打順がやりやすいです。1番打者として初回からどんどん振って、相手投手をビビらせていきたいです。もし一番を打てれば『俺が打たなくても後ろはキクさん(菊池涼介)だし』と思えば気は楽ですしね(笑)」

 そして迎えた2015年シーズン開幕戦。開幕スタメンに初めて名を連ねた鈴木が座ったのは、本人の希望通りでもある『1番ライト』。プロ3年目の2015年、鈴木はシーズン通して一軍に定着して97試合に出場。一軍定着の壁をクリアし、レギュラー定着への足がかりをつくるシーズンとなった。

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