逆襲に向けて負けられない試合が続くカープ。試合の鍵を握る投手陣をどう整備していくべきか、カープOBの大野豊氏に聞いた。

今季からカープに加入したバード投手。

◆若手とベテランを融合させてリリーフ陣の整備を

 8月13日からシーズン後半戦が始まりました。五輪中断期間中に行われたエキシビションマッチの結果を見る限り、先発6番手がなかなか決まらなかったのは残念な点です。さまざまな投手を試し、二軍でも投げさせていましたが、首脳陣、そしてファンを納得させる結果を残した投手はいませんでした。後半戦の先発ローテは、大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁、玉村昇悟、大道温貴(8月22日に登録抹消)までは決まっているだけに、誰が先発6番手を務めるのか。

 言い換えると、決まっていないだけに、名前をあげた投手にかかる期待は大きくなります。そして、もう一つの課題は、抑えの栗林良吏につなぐ6・7・8回のリリーフをどう整備していくかという点です。

 そのなかで、前半戦35試合に登板したコルニエル、昨年19セーブをあげたフランスアが勝ち継投の中心になっていくと思います。ケガで出遅れたフランスアには、後半戦はフル回転の活躍を期待したいところです。彼ら2人を含め、首脳陣の中では、ある程度、起用の目星はついていると思いますが、まずは栗林の前に投げる投手をしっかりと固定し、機能させることが大事です。

 二軍に目を移すと、リーグ3連覇に大きく貢献し、実績のある今村猛、一岡竜司、中﨑翔太の三人が、二軍でかなりの試合数を投げています。彼らの中から、何人か一軍に戻ってきてくれることを首脳陣も期待しているはずです。数年前のような過度な期待は難しいかもしれませんが、後半戦、彼らが復調し、一軍の戦力になれるかというところも巻き返しのポイントになると思います。ベテラン投手が存在感を見せれば、若い投手に与える影響も大きいです。

 カープのブルペン陣は、1年間シーズンを戦ったことがない投手がほとんどなので、ベテランの存在は頼りになるものです。先発陣も玉村と大道は、先発ローテに入ったばかりですから、内容のある投球を重ねてアピールを続けていかないといけません。勝利をつかむうえで大切なのは、先発がいかに試合をつくれるかということ。先発が序盤でマウンドを降りる試合が続くと、これから連戦が続いていくだけに、リリーフにかかる負担が大きくなります。まずは先発が試合をつくり、リリーフにつなぐ。逆転負けを許さない、先制逃げ切りができる戦いを数多くしていくことが大事になってくると思います。

 そして先発6番手には前半戦先発で投げた左腕の高橋昂也、二軍で結果を残している中村祐太あたりが出てきてくれたらチームも活性化すると思います。リリーフに関しては、島内颯太郎、ケムナ誠、バードをどう起用していくかにも注目です。助っ人左腕のバードは前半戦で10試合を投げ、だいぶ落ち着いた投球ができるようになってきました。後半戦は1イニングを任せるのか、左バッターへのワンポイントで起用するのか。バード、コルニエル、フランスアの外国人投手がしっかりと結果を残し、そこにベテランと若手が融合することで、強力なリリーフ陣になると思います。