カープ時代の小窪哲也選手。

◆一軍昇格翌月に早くもお立ち台を経験

―では、プロ入り初のお立ち台に上がった5月4日の横浜戦の8回の打席も何も考えずに打席に入ったのですか?

「1死一、二塁で、とりあえずゲッツーもあるので小細工したゴロは打たないようにしようと。中途半端なスイングではなく、当てにいくぐらいだったら三振した方がいいやと開き直っていました」

―打球がライト線に落ちた瞬間はいかがでしたか?打った瞬間、ガッツポーズとともに雄叫びを挙げるほど気合いが入っていましたが。

「落ちた瞬間じゃなくて、(打球が)上がった瞬間に『抜けた!』と確信しました。ただ、集中していたので、ガッツポーズや雄叫びは覚えていないですね(苦笑)。あのヒットはファンが後押ししてくれたお陰で打てたと思います」

―その試合は、小窪選手の活躍もあり逆転勝利を収めました。

「自分の仕事は果たせたかなと思います。ドラフトで指名されて、周りからちょっとでも期待されていたので、活躍しないといけないと思っていました。早くチームの勝利に貢献したかったんです。あのヒットでやっと貢献できたかなと。ただ、まだまだこれからです」

―初のお立ち台にも上がりましたが、いかがでしたか?

「僕がお立ち台に上がってもいいのかなって思いました。みんなが繋いでくれた結果だったので、あの日の勝利は僕だけのものではなかったですから」

―舞台を一軍に移してもバッティングは十分通用していると思うのですが、開幕前は自らの打撃フォームに悩まれていました。

「下半身に粘りがなかったので、ステップする左足のタイミングが合わなかったんです。あの頃はまだ生きた球にも目が慣れていなかったので、足の上げ方もバラバラで違っていました。自分のタイミングで振ることができていませんでした」

―調子が上向く要因となったものは何だったのでしょう?

「やっぱり試合に出るようになったことですね。山崎二軍監督が我慢して使い続けてくれたことが、調子が良くなった一番の理由だと思います」

―打撃だけでなく、好フィールディングを見せるなど守備も安定していますが、プロ入り直後の春季キャンプでは自分の守備に自信がなかったそうですが。

「そうですね。一軍の選手と一緒にやって悔しかったというか、自分が今までやってきたことが全く通用しないというか…。梵さんとか他の内野手と比べると全然違いましたね。そこまで守備に自信があったわけではないですが、ある程度はやれると思っていたので悔しかったですね」