◆球種や制球力など、今の自分の全てが一軍で投げるための武器

─投球をみると右打者にも左打者にも、内角にしっかり投げ込めていると思いますが、内角の使い方で意識されていることはありますか?

「内角は、投げ損じて甘くなると長打を打たれる可能性が高くなるので、厳しく丁寧に投げることを意識しています。ボールになってもいいので、しっかり内角を突くようにしています」

─一軍の打者に物怖じすることのない強気の投球スタイルも印象的です。

「そこまで気持ちが強いほうではないのですが(苦笑)、捕手の方が『自信を持って攻めてこい』と強く言ってくださるので、それに引っ張られている部分が大きいと思っています」

─玉村投手は、テイクバックが独特で、少し遅れ気味で腕が出てくるため、打者もタイミングがとりづらいように思います。そのあたりも意識しての投球フォームでしょうか?

「実は特に意識はしていないんです。打者から球を隠そうという気持ちもありません。自分が投げやすいように投げていて、それがたまたま今のフォームになっています」

─投球フォーム自体は高校から変わっていないということでしょうか?

「そうですね。プロに入って、考え方や体の使い方の部分で意識の変化はありましたが、投球フォームはほとんど変わっていないと思います」

─成績をみると、得点圏にランナーを背負った時の被打率が.159とかなり低いです。ピンチの場面で意識していることを教えてください。

「焦らず投げることですね。少し呆気にとられるかもしれませんが、投手が投げないと試合が進まないからしっかり投げようという思いでいるのが正直なところです」

─ピンチを迎えるとギアを上げるという表現をする投手もいますが、そういった感覚でもないと?

「まだギアを上げるような結果を残していないですし、上げるだけの力があるわけでもありません。ピンチの場面ではとにかくコースを丁寧に突く。甘くならないように、集中して投げ切ることを強く意識しています」

─プロ野球選手として、観客がいる前でプレーするのは今年が初めてだと思いますが、ファンの方に囲まれた中で投げる気分はいかがですか?

「初登板の時はかなり緊張しましたが、それ以降は少しずつ慣れてきました。ただやっぱり緊張はしますね」

─後半戦も先発ローテの一員として名前が上がっています。どんな投球をファンの方にみせていきたいですか?

「先発としてしっかりと試合をつくり、1つでも多くの勝ち星を積み重ねていきたいと思っています」

─玉村投手が考える自身の一番の武器を教えてください。

「自分ではよく分からないです。球種や制球力など、今自分が持っている全てが武器になっていると思います」

─数字の目標はありますか?

「シーズン終了まで先発ローテで投げることができれば、数字は自然についてくると思うので、そこまで数字を追い求めず、目の前の試合を大切にして投げていきたいと思います。とにかく1試合でも多くチームの勝利に貢献できるように頑張ります」

◆プロフィール
玉村昇悟 65
■たまむら・しょうご ■2001年4月16日生(20歳)■177cm/77kg 
■左投左打/投手 ■福井県出身 ■丹生高-広島(2019年ドラフト6位)