昨季まで13年間カープに在籍し、8月31日にロッテに入団していた小窪哲也選手が一軍昇格即スタメン出場を果たし、移籍後初本塁打を放った。

 9日のオリックス戦(ほっともっと神戸)で2番ファーストでスタメン出場を果たすと、7回の第三打席でオリックス先発田嶋大樹からレフトスタンド中段へ、1号ソロ。小窪の本塁打は2019年6月1日以来、約2年ぶりとなり、劇的なデビューとなった。

 NPB復帰を果たした小窪について、カープで13年間共にプレーしてきた石原慶幸氏に思いを語ってもらった。

9月9日のオリックス戦で加入後初スタメン、初本塁打を放った小窪選手(写真はカープ時代)

◆再びNPBでプレーする姿を見ることがうれしい

 小窪選手がいきなり本塁打を放つ活躍を見せましたね。移籍後初スタメンの試合でホームランを打てるというのは、小窪選手らしい勝負強さを感じました。もう一度NPBに挑戦したいという気持ちで熊本の独立リーグチーム(独立リーグ・九州アジアリーグの「火の国サラマンダーズ」)でプレーし続けていた訳ですが、再び彼がNPBでプレーする姿を見ることができることが純粋にうれしいですね。

 悩みながら、いろんな決断をしてきたことを本人から聞かせてもらっていましたが、僕としては自分が納得することが一番だと思います。そういう意味でも、小窪選手が一番求めていた「NPBに復帰してもう一度勝負する」という状況になったことは本当に良かったと思います。

 彼が熊本でプレーしている時期、実際に現地で会って話をする機会がありました。あの時に彼は、「広島で練習を続けていく中で、どうしてもやれることに制限があるので、熊本で実戦をさせてもらえることは本当にありがたい」ということを言っていました。またカープ退団後に様々な経験をしたことで、初心に戻ったというか、気づかされることもあったそうですし、改めてプロ野球はすごい場所だということを再認識したとも言っていました。そういう話を聞いていて、経験した人にしか分からない世界だと思いましたし、小窪選手はNPB復帰まで本当に頑張ってきたと思います。

 NPBでのプレーを続けたいと思っていても、再びプレーすることができない選手もたくさんいます。そういう厳しい世界ですが、小窪選手の場合はその厳しい経験を乗り越えて再びプレーする機会を掴んだ訳ですから、僕としては応援する気持ちだけです。

 小窪選手とはカープで13年間一緒にプレーをして、リーグ3連覇も共に経験をしました。彼は先輩からも後輩からも話しやすい、そういう人間性を持った選手で、チームの中でバランスを取る、中和してくれるような存在でした。そういう意味ではロッテでもそういうことも期待されるかもしれません。ですが、プレーしたいという一心で諦めることなく頑張って、再びNPBのユニホームを着ることができたわけです。現状に満足していないと思いますし、僕としては“いち野球人・小窪哲也”として、ただ純粋に、ありったけのパワーを振り絞って頑張ってほしいです。