10月2日(土)に開幕を迎えるプロバスケットボールリーグ「B1リーグ」。広島ドラゴンフライズはホームでレバンガ北海道と対戦する。

 ここでは、広島ドラゴンフライズの「ピースプロジェクト」の仕掛け人でもある株式会社広島マツダで代表取締役会長兼CEOを務める松田哲也氏に、広島ドラゴンフライズのホームゲームにおける活動と、広島のスポーツに抱く想いについて聞いた。

※記事の全文は『スポーツアクティベーションひろしま(SAH)』で公開中

写真提供:株式会社広島マツダ

◆おりづるにスポーツ発展の思いを乗せて

 2013年に創設された県内初の男子プロバスケットボールチーム広島ドラゴンフライズは、2020-21シーズンから念願のB1リーグへ昇格。まさに今、チームとして大きく躍動のときを迎えています。

 当社では、2018年より、広島ドラゴンフライズが実施する「ピースプロジェクト(※1)」として、試合開始前の両チーム代表による「おりづる交換」や、その試合で最もフェアプレーをした選手を表彰する「おりづる賞」など、広島ならではの活動を行っています。

 これまで僕はバスケットにはあまり縁がなく、実はルールもよく知りませんでした。しかし数年前、知人から広島ドラゴンフライズ代表取締役社長である浦伸嘉さんをご紹介いただき、意気投合。チームやクラブと深く関わるようになりました。浦さんから「これからはプロチームとして、社会貢献活動にも取り組んでいきたい。広島の象徴である平和、そしておりづるタワーやおりづるをモチーフにしたプロジェクトを行いたい」という相談を受けました。

 ここで少し、僕が考える「平和」や「おりづるタワー」への思いをお話させてください。

「おりづるタワー」は約7年の月日をかけ2016年にオープン。その前身となるビルが売りに出され、たまたま参加した見学会で見た屋上からの景色に、僕は一目惚れをしました。「僕のやるべき道はこれだ。この景色を全世界の人に見せることが僕の使命だ」と感じたことが「おりづるタワー」建設に結びついています。

 僕をはじめ、広島在住の方々は、他の都市よりも平和教育を盛んに受け育ってきたと思います。ただ僕たちは、実際の戦争を経験していません。単に広島に住んでいるだけで「反戦・反核」と訴えてもリアリティがなく、正直どこか「嘘っぽく感じる」部分がありました。

「僕たちなりの平和の伝え方がもっと他にあるのではないか……」長年模索する中、現在の広島をアーカイブとして残し、しっかりと次の世代に伝えていくことが重要だと考えました。

「おりづるタワー」から見えるのは、原爆ドームそのものに加え、その向こう側に広がる素晴らしい景色です。原子爆弾投下によって何もかも無くなった75年前から時が経ち、たくさんの人が広島の復興に全身全霊をかけ、現在の広島があります。この景色から、人間の強さや、今後の広島を感じられます。

 つまり僕が伝えたいのは、戦争の悲惨さよりも、今ここにある広島と、未来の広島です。辛く悲しい過去ではなく、温かく優しい未来です。広島には、原爆を落としたアメリカを受け止め、受け入れ、さらに全世界の人たちを受け入れるムードがあります。人種や宗教、イデオロギーを超えて、誰でも平和を感じられる場所、それが「おりづるタワー」なのです。

 広島ドラゴンフライズの「おりづる交換」や「おりづる賞」も理念は同じです。試合開始前におりづるを交換し、定められたルールのもと平和的に戦います。試合終了後、相手へのリスペクトを大切にするというメッセージを込め、おりづる賞を贈ります。お互いにエールを送り称えていく過程には、人間の強さや優しさがあります。「おりづるタワー」の理念、そして僕が長年考えていた想いと、広島ドラゴンフライズの大志が合致したこと。これが,ピースプロジェクトの根底にあるのです。

(※1)広島ドラゴンフライズピースプロジェクト…国際平和都市「ヒロシマ」における平和活動を,バスケットボールのもつ競技精神「リスペクト」とグローバルな競技人気を活用し,広島ドラゴンフライズだからこそ実現できる活動を,短期的かつ長期的に,そして具体的かつ創造的に実施していくことをコンセプトとしたプロジェクト。

※記事の全文は『スポーツアクティベーションひろしま(SAH)』で公開中