【写真】2014年12月、入団会見に臨む塹江敦哉投手(前列右)。同期入団のドラフト1位は野間峻祥選手(前列中央)。

意識改革で臨んだキャンプ

「これまではどうしても周囲の投手の存在を気にしすぎていたと思います。特に自分と同じような位置にいる若手選手ですね。以前は自分は周囲の選手と比べてどうだとか、もっと言えば一軍の勝ちパターンの投手と比べて自分がどれぐらいの力量の差があるのかとか、そういうことを考えながらやっていました。そこで1回自分のことに集中してみようと思ったのが今年のキャンプですね」

 一軍スタートとなった春季キャンプでは、これまでとは違った意識で臨み、第1クールから精力的に投げ込みを続けた。「毎年春は調子が良くない」と本人は口にするが、今年はオープン戦6試合で防御率1.23、練習試合でも無失点を記録するなど実戦で結果を残し続けた。フランスア、DJジョンソン、岡田明丈ら期待されていた主力リリーフ陣の出遅れもあり、塹江の調子の良さは際立っていた。

「マウンドで焦らずにできているというのが、僕の中では大きいですね。投球面で言うならゾーンで勝負する、つまり打者に打たれるリスクを負いながら勝負ができているのだと思います。」

 実戦登板での特長として挙げられるのが制球力の向上だろう。それは数字にも表れ、四球数の減少、奪三振率の高さにつながっている。元々、直球とスライダーの質には定評があった。そこに制球力が加わることで、打者に対し優位な状態で勝負ができるようになった。