2020年、柏から横浜FMヘ期限付き移籍をすると、リーグ戦22試合出場で13ゴールをマークし大ブレイク。広島でもその高い得点能力が期待されているサントス。2得点を挙げた8月28日の大分戦の話をもとに、サントスのゴールへの思いを紹介する。

スピードを活かした個の力で、局面を打開する突破力を持ち合わせるサントス選手。

◆選手間で同じイメージを共有できていたからこそゴールにつながった

―4対1で快勝した8月28日の大分戦の話を伺います。サントス選手の2ゴールはどのような狙いから生まれたのでしょうか?

「この日だけではなく、ほかのゴールも同じなのですが、自分はシュートフェイントをすることが多いんです。まずはディフェンスの動きをよく見て、相手が寄せてくるようなら裏をつく。寄せてこないのであればスペースができているので、そのままシュートを打つ。この2つの選択肢から選ぶようにしています」

―1ゴール目は、同じブラジル出身のエゼキエウ選手との見事なワンツーをきっかけに生まれました。

「最初は相手が寄せてくるかなと予想していたんです。寄せてきたら、頭上をふわりと浮かせるようなプレーを選択しようと考えていたのですが、予想外に相手が寄せてこなかったので、エゼキエウ選手にまずパスを出しました。ワンツーをイメージしてくれているだろうなと思っていたら、その通りにボールを返してくれました。胸トラップで受けたとき相手がそこまで寄せてこなかったので、チャンスだと思い、早めにシュートを打ちました」

―狭いスペースでの見事な連携プレーでした。2ゴール目も柏好文選手とのコンビネーションが素晴らしかったです。

「あれはチーム全員の力で取れたゴールでした。まずボールを奪ってハイネル選手が右サイドの柏選手に出しました。あの時点で、柏選手なら、きっと自分の動きを見てくれるだろうと信頼して、前線に走っていきました。相手の人数の方が多くて数的不利だったので、あまり余計な動きをせずにタイミングを狙おう。柏選手なら空いているスペースにクロスを入れてくれるはずと思っていたところ、狙い通りのスペースに完璧なボールを供給してくれたので、自分はただ振り抜くだけでした。選手間で同じイメージを共有できていたのでゴールにつながったと思います」

―試合を重ねるごとに周りの選手との連携が高まっているように感じます。

「柏選手とエゼキエウ選手とはタイミングが合わせやすいですし、ほかの選手とも上手く連携できるようになっていると日々実感しています。ゴールは自分の力だけで奪うことはできません。大分戦のようにチーム一丸となってゲームをつくり、ボールをできるだけ保持して焦ることなくボールをつなぎ、何度もトライ&エラーを繰り返していれば、いつかはゴールが生まれると思います。サンフレッチェには技術の高い選手がそろっているので、攻撃の回数を増やせるかどうかが得点力を上げるポイントになると思っています」

―サンフレッチェの選手のなかで、技術の高さを感じるのは誰ですか?

「全員の名前を出したくなるのですが、まず一人挙げるなら柏選手。彼はインテリジェンスが高いですね。ボールを持ったときの選択肢が多いし、オフザボールのときも、いつスピードを上げるべきなのか、いつ止まるべきなのか、それによって相手はどう動くのかということをずっと考えてプレーしています。そして森島司選手。ボールのキープ力が高く、相手のギャップを突くようなプレーもできます。テクニックが高くバランスの良い選手だと感じています。あとは言うまでもありませんが、青山敏弘選手。好守にわたってチームを助けてくれていて、彼がボールを持ったときには躊躇なく動き出すことができます。ほかにも特長のある上手な選手ばかりで、名前を挙げ出すとキリがありません」

●プロフィール
ジュニオール サントス
1994年10月11日生 ブラジル出身/FW
得点感覚に優れたストライカー。2017年にブラジルでプロデビューを果たすと、2019年に柏に移籍。2020年シーズン途中に横浜FMに期限付き移籍し、その年22試合の出場でチームトップの13得点を記録した。2021年にサンフレッチェに加入。