2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は鈴木誠也、上本崇司らを指名した2012年のドラフトに触れていく。

2012年ドラフトで広島から2位指名を受け、入団会見に臨む鈴木誠也選手。

 2012年ドラフト前は大谷翔平(花巻東高・現エンゼルス)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭高・現阪神)に注目が集まるなか、カープは将来性豊かな左腕投手・森雄大(東福岡高・現楽天)を1位指名。しかし、ここは楽天と重複し抽選の結果、交渉権の獲得に失敗した。

 改めて即戦力右腕の増田達至(NTT西日本・現西武)を外れ1位で指名したが、ここでも西武と重複し交渉権を得ることはできず。2回連続で投手の指名に失敗したカープは軌道修正を図り、右の長距離砲として高く評価していた髙橋大樹(龍谷大平安高)を1位指名で獲得となった。

 前年までは2009年の今村猛、2010年の福井優也、2011年の野村祐輔と3年連続で投手を1位指名していたが、2008年の岩本貴裕以来となる野手1位指名となった。

 2位では尾形佳紀スカウトが強く推薦した鈴木誠也(二松学舎大付高)の獲得に成功。かつて江藤智、前田智徳らが背負った背番号51を引き継いだホープは、ルーキーイヤーから非凡な才能を見せ、数年後には“日本の4番”を任されるまでの選手に成長した。

 3位には、今やチームに欠かせない戦力となった上本崇司(明治大)を指名し、4位で即戦力の好打者・下水流昂(ホンダ・現楽天)、5位ではスラッガータイプの美間優槻(鳴門渦潮高・元ソフトバンク)を指名するなど、育成含め7選手のうち6人が野手となった。

 2012年シーズンはDeNAと並んでリーグ最下位となったチーム打率(.233)や得点力不足が指摘されていただけに、本ドラフトはスラッガーを中心とした野手の獲得にシフトチェンジした形となった。

【2012年 カープドラフト指名選手】
1位:髙橋大樹(龍谷大平安高・外野手)
2位:鈴木誠也(二松学舎大付高・内野手)
3位:上本崇司(明治大・内野手)
4位:下水流昂(ホンダ・外野手)
5位:美間優槻(鳴門渦潮高・内野手)
育成ドラフト1位:辻空(岐阜城北高・投手)
育成ドラフト2位:森下宗(愛知工業大・外野手)