カープの2021年は、まだ“終わって”いないかもしれない――。

 10月に入り、一時は10ゲーム以上離れていた3位・巨人との差を一気に縮め、わずかではあるがクライマックスシリーズ進出の可能性が見えてきた。残りわずかな試合数、果たして“奇跡の逆転CS出場”はなるか⁉

10月16日の巨人戦に先発する森下暢仁投手。

◆カープには「勝つ戦い」が求められる

 4月18日を最後に一度もAクラスに浮上することなく、苦しい戦いを強いられてきた2021年のカープ。10月1日から4連敗を喫し、5日終了時点で3位・巨人とは11.5ゲーム差の5位。3年ぶりのCS出場は絶望的かと思われた。

 しかし、カープはここから突如として息を吹き返す。6日の中日戦で10月初勝利を手にすると、そこから一気の6連勝。特に8日から本拠地・マツダスタジアムで行われた巨人3連戦で3連勝と、上位との差を一気に縮めてきた。

 一方の巨人は10月5日から引き分けを挟んで9連敗と、ここにきて大ブレーキ。10ゲーム以上あったカープとの差は、15日終了時点で4ゲームまで縮まっている。

 誰もが「今季も無理だ……」とあきらめかけていたCS進出に、わずかながら可能性が見えてきたが、残り試合数を考えるとまだまだ条件は厳しい。

 3位・巨人と4位・カープの残り試合と、勝敗数に応じた最終成績は以下のとおりだ(※10月15日終了時点)。

カープ(残り9試合)
残り勝敗/最終成績
9勝0敗/66勝66敗11分 勝率.500
8勝1敗/65勝67敗11分 勝率.4924
7勝2敗/64勝68敗11分 勝率.485
6勝3敗/63勝69敗11分 勝率.477
5勝4敗/62勝70敗11分 勝率.470

巨人(残り5試合)
残り勝敗/最終成績
5勝0敗/64勝60敗19分 勝率.516
4勝1敗/63勝61敗19分 勝率.508
3勝2敗/62勝62敗19分 勝率.500
2勝3敗/61勝63敗19分 勝率.4919
1勝4敗/60勝64敗19分 勝率.484
0勝5敗/59勝65敗19分 勝率.476

 仮に巨人が残り5戦を全敗した場合でも、カープは7勝2敗で切り抜けなければCS出場は叶わない。巨人は残り5戦で4勝を挙げれば、カープの成績にかかわらずCS進出が決まり、事実上CSマジックが4となっている。

 ちなみに、カープ9勝0敗、巨人3勝2敗でともに勝率が5割ちょうどになった場合、セ・リーグの規定では「勝利数の多い球団」が上位となるため、カープが3位、巨人が4位になる。

 また、今季はリーグ規定で試合が9回打ち切りのため引き分けが乱発しているが、勝率に影響されない引き分けは巨人にとっては有利、カープにとっては不利に働く。

 CS進出に向けて、巨人には「負けない戦い」、カープには「勝つ戦い」が求められることになる。

 カープにとっては残り9試合、一戦も落とせない戦いとなるのは間違いない。数字上、可能性は限りなく低いだろう。

 しかし、海の向こうのメジャーリーグでは今季、ナショナルリーグ中地区のセントルイス・カージナルスがシーズン終盤に怒涛の17連勝を見せ、ポストシーズンに滑り込んだという実例もある。

 諦めるのは、まだ早い。

 まずは10月16日、巨人との直接対決を制し、「奇跡のCS進出」へ望みをつないでほしい。