激戦区の内野手のポジションに挑戦する韮澤。まずは二軍レギュラーの座を目指す。

キャンプで体感した球界トップクラスの守備

 意識の変化は結果にも現れた。3年連続で夏の甲子園を経験すると、直後にU-18ワールドカップ日本代表に選出され出場。本職ではないファーストでベストナインに輝き、打者としても3番で29打数10安打という桁違いの成績を残してみせた。木製バットへの高い順応性を見せたことでスカウトからの評価もさらに強固なものとなった。

 そしてドラフト4位でカープから指名を受け、プロの世界への挑戦権を得ると、韮澤は春季キャンプで偶然にも日本球界屈指の高レベルなプレーに直面する。

「キャンプの時期は高校時代とは全く違うすごくレベルの高いプレーを見ることができていたので、充実していたと思います。沖縄のキャンプでは菊池さん(涼介)や、長野さん(久義)がいらっしゃったので、学べることは全部吸収してやろうと思って見ていました。(菊池さんは)本当にすべてのプレーがうまくて、球際も強いですし、体幹の強さにも驚きました。プロに入ってすぐにトップクラスのプレーを間近でみることができたのはとても大きかったと思います」

 カープの内野は狭き門だ。ショートに限っても田中広輔と小園海斗が熾烈なポジション争いを繰り広げ、二軍でも中神拓都ら若鯉たちが虎視眈々と昇格の機会をうかがっている。現在は練習時間が限られる状況だが、高卒野手とはいえ1秒たりとも時間は無駄にはできない。

「(同じポジションで一学年上の)小園さんの存在は甲子園で活躍されていた頃から知っていますし、守備の動きが早かったり、打球の質が全然違いました。カープに入ってからも1年目からホームランを打ったりして『ああいうレベルの人がプロで活躍するんだな』と思っていました。正直まだまだ小園さんと比べられるほどの選手ではありませんし、力が足りてないことは自分でもよく分かっています。ただ、簡単にあきらめてしまうのもよくないと思いますし、今できる部分をしっかりアピールして、いずれはライバルと呼ばれるぐらいになっていきたいです」