カープを実況し続けて20年。広島アスリートマガジンでも『赤ヘル注目の男たち』を連載中の坂上俊次氏(中国放送アナウンサー)による完全書き下ろしコラムを掲載! 長年カープを取材してきた坂上氏が、カープの育成方法、そして脈々と受け継がれるカープ野球の真髄を解き明かします。連載2回目の今回は、現在一軍外野守備・走塁コーチとして指導にあたる廣瀬純コーチの育成法に迫ります。

 

今問われる野球人生の“デザイン力”

 ストイックという言葉でもない。アイデアマンの一語だけでもない。現在、カープ一軍外野守備・走塁コーチを担当する廣瀬純は、現役時代から自分で興味を持って考え、妥協なく行動するプレーヤーだった。ウエートトレーニングや体幹、さらには坂道ダッシュ、水泳、バドミントン、四股……あらゆることをトレーニングに取り入れてきた。特に2006年のマーティー・ブラウン監督の就任以降は、ますます取り組み方は顕著になった。ブラウン監督の方針で、アメリカ式の調整法がチームに持ち込まれ、キャンプでも全体練習の時間は短いものとなっていた。

「時間が短くなって、自分に費やす時間ができました。そこから自分でバットを振り、ウエートトレーニングもしました。もともとウエートもするタイプでしたし、その分野に興味もありましたので、フィジカルも徹底しようと思いました。故障歴のある膝のケアもできました」

 廣瀬は自分の野球人生をデザインする力に長けていた。この年、自己最多の47安打を放つと、レーザービームの強肩と卓越した打力を武器に外野の中心選手に成長した。2010年には初の規定打席に到達して打率3割を記録、ゴールデン・グラブ賞も獲得した。そして、2013年に達成した15打席連続出塁は日本プロ野球記録である。

 この間も、アメリカでトレーニングや栄養面について学び、動作解析の専門家の門も叩いた。メンタルトレーナーに指導を仰いだこともあった。まさに、探求心が彼のキャリアを切り拓いてきたのである。

 現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロ野球界は練習にも苦慮している状況にある。時間や環境の制限をどう乗り越えるか、廣瀬に聞いてみたかった。

「僕だったら、球場だからできること、球場以外でもできることを分けて考えます。球場では、打撃練習やトレーニングが優先になります。一方で、心肺機能のトレーニングは、人の少ない時間と場所を考えて、シャトルランなどを自分でやるでしょうね。1勤1休のスケジュールも、休みの前の日に体の部位別にしっかり追い込むことができるはずです。なりたい自分を明確にできるかどうかだと思います」

 あくまで、プレーヤー目線での考えである。現在、廣瀬は一軍の外野守備・走塁コーチを務めている。選手のリクエストに応じて、ノックバットを握り、球を投げ、必要なアドバイスも惜しまない。ただ、今は「選手個々に任せる」フェーズだと考えている。