プロアスリートや様々なスポーツから『学ぶ』ことや『育てる』ことにフォーカスして、スポーツの新たな価値を創造し、普及していくことを目指す、広島アスリートマガジン発のプロジェクト「アスガクfrom Hiroshima」。

 当プロジェクトの一環として、12月18日には広島市内で初のトークセッションとなる【「アスガク」トークセッションスポーツで成長する!~森﨑浩司がサッカーで学んだこと~】が開催される。当日はサンフレッチェ広島OB(アンバサダー)森﨑浩司氏をゲストに迎え、「アスガクfrom Hiroshima」で教育・研修事業を担当する、門田卓史氏がMCを務める。

 トークセッションでは様々な角度・視点から、“スポーツでの経験は、人が成長する上で様々な場面で生かせる”ことを掘り下げていく。また、当日参加者との質問形式でのセッションも予定されている。

 ここではトークセッション開催にあたり、登場する森﨑浩司氏に「アスガクプロジェクトについて」「サッカー人生でどのようなことを学んできたのか?」「トークセッションに期待すること」などを、全4回連載でお送りする。

 第1回目は、門田氏が広島アスリートマガジンWEBで連載中のコラム「アスリートやスポーツから『学ぶ』ことや『育てる』ことにフォーカスを当てる《アスガク from Hiroshima》」を踏まえて、森﨑氏が感じたことを聞いた。

現役時代、17年間サンフレッチェ広島でプレーした森﨑浩司氏

◆現役時代に「サッカーから何を学んでいるか」を考えていたかった

ー門田氏のコラムを読んで、どのような感想を持たれていますか?
「実は、昨年スクールのチームビルディングの話を門田さんから聞かせていただく機会があったんです。「サッカーやスポーツから学ぶことがたくさんあるのではないか?」という話をさせていただく中で、人間力というか、人として学ぶことが多かったので、そこが一番、門田さんと出会って考えさせられることが増えてきた部分です」

ー具体的にどんなことを考えさせられたのですか?
「“サッカーだけをやってきたんじゃなかったんだな”ということを思い出させていただいたと思います。僕自身サッカーを通じて“人間として成長させてもらった部分がたくさんあったんだな”と、改めて感じることが今できています」

ー現役時代、アスリートとしてこのような考え方をする場面はありましたか?
「やはり現役時代は、日々トレーニングのことを考えて、プレーヤーとして必死でプレーしていただけなので、なかなか「サッカーから何を学んでいるのか?」と考える時間がなかったというのが率直なところですね」

ー門田さんの考えを現役時代に知っていたとしたら、考えが変わっていたかもしれませんね。
「ものすごく変わっていたと思います。“自分はサッカーから何を学んでいるんだろう”と考えていたとしたら、ただひたむきに頑張っていた自分ではなく、もう少し気持ちにゆとりを持ちながら、客観的に自分自身やチームを見ていたんじゃないかなというのは感じます。そう考えると、もっと早く知っていたかったです。それこそ、プロ1年目から知っていたかったです(苦笑)」

ー現役時代にヒントになるキーワードがたくさんあったと思いますか?
「そうですね。僕は現役時代、日々のトレーニングを積み重ねることで結果を出せると信じてやってきました。もちろんケガや病気をしたり苦しい経験をする中で、もっと思考の引き出しが増えていたんじゃないかと。「ただ苦しい、ただしんどい」というだけではなく、モノの考え方は様々あると思うんです。僕はどちらかというとネガティブな思考を持ちながらプレーをしていたんで。もっとポジティブな思考に変わりながらプレーできていたんじゃないかなっていうのは、ちょっと後悔しています(笑)」

ー門田氏コラムの中に「過程は自分次第でコントロールできる」とありました。現役時代に、過程を大事にされているところはありましたか?
「2012年にJ1初優勝を達成したときを思い返すと、プロの世界ってやっぱり結果を求められるんだと感じました。試合までの準備、優勝に辿り着くまでの過程で森保一監督(現日本代表監督)からよく言われていたのは「一喜一憂せずコツコツ積み重ねること」。これは自分の中に染みた言葉でした。僕はどちらかというと調子がよければ調子に乗って、気持ちが落ちるととことん落ちちゃうタイプなんです。「ゼロか100か」というメンタル状態が続いていましたよね。そこで森保監督に当時「試合に勝ったその日は喜んでもいいけど、次の日から次の試合に向かって準備しよう」「例え結果が出なくて試合に負けても、相手が上回ったことだし、結果はコントロールできない。だから必要以上に落ち込むな。悔しがってもいいけど切り替えろ」ということを言われました」

ー森保監督の言葉を受けて、どのような考えで準備されていたのですか?
「次の試合でいいパフォーマンスを出すために、まず結果じゃなくて過程や準備をいかに大事にするかを考えるようになりました。そこは自分でコントロールできる部分だと感じたので。それまでは勝ったら必要以上に喜んでましたし、負けてしまうと自分の責任だと感じて結構メンタル的に落ちたり、波が結構あったんです。でも、森保監督の言葉のおかげでコツコツ積み重ねていく準備の大切さに気づかされたんです。それまでもやっていたんですが、なんとなくやっていた部分がありました。そういう意味では“毎日の日々がすごく大事なんだ”とすごく実感しましたし、優勝という結果も出ましたからね」

ーまたコラムには「成長には振り返りが重要」ともありました。この点についてはいかがですか?
「トレーニングの中でも「ここが良かったな悪かったな」ということを考えていました。もちろんゲームも、勝っても負けても課題は出ていたので、反省点だったり振り返りっていうのはチームでもやっていました。自分たちのゲームの分析は必ずトッププロでやることなので。特に課題に目を向けて、振り返りはやっていましたね。できる限り、勝ちながら課題をクリアしていくというサイクルが一番良いので。負けて課題を振り返るよりも、ポジティブにものごとが進んでいくのは、勝ちながら、結果を出しながら振り返るのが一番良かったと思いますよね」

ー勝っている回数が多いときの方が成長の実感が大きかった?
「どっちも成長には繋げられるんですが、チームとしてのポジティブな空気を考えると、やはり結果を出しながら振り返るのが良かったですね。結果が出ないと、どうしてもネガティブな思考の中で振り返るっていう空気感なんですけど、課題ばっかり目がいきがちでした。負けた試合でもポジティブなところって絶対あるので、そこにも目を向けたいんですけどね。勝ちながら振り返ったほうがより前向きな気持ちで課題に向き合いやすかったりしましたね」<第2回に続く

●森﨑浩司氏プロフィール
1981年5月9日生、広島県出身。サンフレッチェ広島ユースから、2000年にサンフレッチェ広島入団。得点感覚に優れたMFとして活躍し、2004年にはアテネ五輪に出場。また双子の兄である森﨑和幸と共に長年チームの主力としてサポーターに愛され続け、3度のJ1制覇に大きく貢献。2016年限りで現役引退。その後はアンバサダーとしてクラブ広報活動に尽力する。

【イベント概要】
「アスガク」トークセッションスポーツで成長する!
~森﨑浩司がサッカーで学んだこと~

〇日時:2021年12月18日(土)13:30〜(受付13:00〜)
〇会場:広島市まちづくり市民交流プラザ(広島市中区袋町6番36号)
〇出演:サンフレッチェ広島OB森﨑浩司 氏
〇司会進行:株式会社edu-activators 代表取締役 門田卓史 氏
〇対象:お子様がスポーツをされている親御様、スポーツ指導者、企業の人材育成担当者 など
〇料金:1.会場参加 ¥3,000(税込)※予約制(予定人数になり次第販売終了)                    
    2.オンライン配信 ¥1,000(税込)※視聴用URLは開催前にオンライン配信お申込みの方にお知らせいたします。
〇主催:株式会社RIGHTS. / 株式会社サンフィールド

【チケット購入について】
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【問い合わせ先】
asugku@sanfiled.net                                                         ※件名に「12月18日アスガクトークセッションについて」とご記入ください。

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