日本シリーズを制するための育成システムとは

 2016年の日本ハム、2018年のソフトバンク。近年のカープにおいて日本一を阻まれた両チームの共通点をあげるならば、いずれもカープ同様に育成力の高いチームということだろう。

 昨年まで、日本シリーズを3連覇したソフトバンクは、いち早く三軍制を導入した。カープを苦しめた千賀滉大-甲斐拓也のバッテリーはいずれも育成選手としてプロ入りし、三軍で育成されて育った選手だ。数多くの選手をドラフト指名して、2016年に新設した球場施設(HAWKSベースボールパーク筑後)で試合経験を積ませる。経営的にいえば『競争』を強調した『環境型マネジメント』になる。

 一方の日本ハムもダルビッシュ有、大谷翔平といった高卒入団選手がメジャーリーガーとなった育成実績がある。ただし、その育成スタイルはソフトバンクとは異なる。選手獲得は最小限に抑えて、一人一人に丹念な社会人教育を施し、自主性を重んじているのだ。つまり教育による『目標型マネジメント』だ。

 では、カープはどうだろう。ファーストステップとして、ハードなトレーニングを課し、プロ野球選手としての心技体を身につけさせる、そのスタイルは、たたき上げの『行動型マネジメント』といえる。この過程で選手たちは球団への愛着心を持ち、カープ最大の強みである選手の情緒的コミットメントにつながっている。

 しかし、日本一に届かなかった現実は、受け止めなければならない。そのバージョンアップが求められていることは確かだ。