カープの鈴木誠也(27)がポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した。6年連続打率3割・25本以上を記録したNPB屈指のスラッガーを巡って、メジャー複数球団による争奪戦が予想される。

プロ2年目、鈴木選手は一軍で36試合に出場し、プロ初本塁打も放った。

 鈴木は二松学舎大付高から2012年ドラフト2位でカープに入団。ルーキーイヤーから一軍での出場機会を得ると、プロ4年目には「神ってる」活躍で大ブレイクし、25年ぶりの優勝に大きく貢献。その後は3連覇を果たしたチームの若き4番として打線を牽引し、侍ジャパンの4番としても活躍してきた。

 ここでは、日本を代表する打者へ成長するまでの鈴木のプロ9年間の軌跡を辿る。今回は2015年、プロ3年目に挑む直前の言葉を振り返っていく。

◆『何とかやっていけるかも』という気持ちが強かった

─キャンプインまでの自主トレでは、どんなトレーニングを行われていたのですか?

「昨年は体を大きくする目的を持ってウエートトレーニングをやっていたのですが、今年はどちらかと言えばケガ予防の意味を含めてウエートをしていました。そういうトレーニングをしながらも、しっかり走ったりして筋力を上げていきました」

─筋力アップで体重も増加すると思いますが、やはり体重には気をかけているのですか?

「今年に入って特に体重は気にしています。昨季調子が良かった時期は81キロだったのですが、それでは1年も持たないと思ったので、オフに85キロまで増やしました。それでもキャンプに入って走れているので、あとは落とさないことが目標です」

─自主トレでは、丸佳浩選手と行動を共にしたそうですね。

「昨季も休日の練習は、僕から『一緒に練習させてください』とお願いして練習をしていました。その流れもあって12月からの自主トレは一緒に練習をさせていただきました」

─丸選手と練習をしたことで、得たものはありますか?

「練習での動きや普段の会話など全てが参考になりました。打撃は左と右で違いますが、良い部分を盗もうと思っていろいろ質問もしました。走塁に関しても、単純に『盗塁ってどうやってするんですか?』と聞いたのですが、『ズルさだよ』と教わりました」

─丸選手の盗塁技術論は具体的にどんなものだったのですか?

「走るという雰囲気を出さないで〝そ~っと走る〟というイメージです。僕の場合は盗塁するとなると、走るぞという仕草が体に出てしまっていて、それをずっと指摘されていたんです。相手投手を騙すというズル賢さが大事なんだということを学びました」

─2月1日にキャンプインしてから、自主トレの効果は感じられていますか?

「自主トレのおかげもあって昨年よりも体は動いていますし、打球の飛距離も伸びているという実感が自分の中にあります。初めてのシート打撃でも実際に投手が投げてくる球に対して、最初は思うような打球を打てませんでしたが、何度も打席に立つことで感覚も戻ってきました」