10月3日の名古屋戦、ホームを湧かせたショートカウンターからの先制点。得点への強い執着心が、再現不可能なスーパーゴールを生み出した。スピードと相手DFの裏取りで、何度も何度も、貪欲にゴールを狙う広島の11番に相応しいエースストライカーを目指し躍動を続けていく。(全4回のうち2回目・取材は11月中旬)

2つ上の兄に浅野拓磨(元広島・現ボーフム(ドイツ))を持つ浅野雄也。

◆まずは点を獲ることが一番。そのために取り組んでいく

1回目から続く)
―浅野選手は今シーズンが始まる前、『2桁得点』という目標を掲げていました。

「チームに貢献したいという気持ちが強いですし、とにかく自分としても点が獲りたいです。小さいときからずっと負けず嫌いで、2歳上の兄・タク(浅野拓磨選手)にも絶対に負けたくありませんでした。子どもの頃からずっと競争する環境にいたので、とにかく結果を出したいんです」

―現時点(11月15日)では5得点にとどまっています。2桁まで数字が伸びない要因をどう考えていますか?

「2桁得点を獲れるぐらいチャンスはたくさんあったので、最後のシュートの質に課題があると思っています。自分の中では入ったと思ったシュートが入らなかったりすることも多いですね。そのあたりの決定力を高めていかないといけません」

―昨年の本誌のインタビューでは、『コイツにボールを預ければなんとかしてくれる、という選手にならないとダメだ』と言われていました。

「まさにそうですね。チームメートから信頼してもらいたいですし、そのためにはゴールが必要です。2桁得点を獲るぐらいの結果を残せたら、最後のところで『決めてくれ!』とパスが来ることも増えると思うんです。まずは点を獲ることが一番。そのために取り組んでいきたいです」

―10月3日の名古屋戦で素晴らしいゴールを決めてから次の仙台戦まで、20日間ほど空きました。どのような意識でこの期間を過ごされましたか?

「特別変わったことはありませんが、名古屋戦での良い状態を20日後につなげられるようにしようということは意識して練習に取り組んでいました」

―しばらく期間が空くと、何か特別な準備をしたりするものですか?

「特にないですね。元々、対戦相手のデータなどはほとんど見ずに試合に臨んでいるので。例えば、〝この選手は一対一が強い〟というような情報を入れてしまうと、いざ一対一になったときに〝ここは戦わずにパスしよう〟と考えて、逃げてしまうんじゃないかと思うんです。どんな相手でも、恐れずにどんどん挑んでいくというのが自分のプレーのいいところだと思うので、あえて何も知らない状態で試合に臨むようにしています」

《プロフィール》
浅野 雄也 1997年4月25日生 三重県出身/MF
■ クラブキャリア
2019:水戸ホーリーホック/34試合・4得点
2020:サンフレッチェ広島/32試合・5得点
2021:サンフレッチェ広島/37試合・6得点
※記録はリーグ戦のみ。