10月3日の名古屋戦。ホームを湧かせた、浅野雄也のショートカウンターからの先制点。得点への強い執着心が、再現不可能なスーパーゴールを生み出した。スピードと相手DFの裏取りで、何度も何度も、貪欲にゴールを狙う広島の11番に相応しいエースストライカーを目指し躍動を続けていく。(全4回のうち1回目・取材は11月中旬)

7人兄弟の4男。2つ上の兄に浅野拓磨(元広島・現ボーフム(ドイツ))を持つ。昨年はリーグ戦32試合に出場し5得点。兄のようなストライカーを担う存在になれるよう、鍛錬を重ねている。

◆チャンスをモノにする強さが武器。仲間に頼られる存在を目指す

―10月3日の名古屋戦(○1-0)でのスーパーゴール、おめでとうございます。荒木隼人選手が中盤でカットしたボールをドリブルで運び、相手DFにシュートコースを潰されながらも放った素晴らしいゴールでした。

「ありがとうございます。スタメンで試合に出るのが久しぶりでしたし、ワントップで起用されたので、〝自分が点を獲らないと誰が獲るんだ〟という気持ちで挑みました。前線を任されている以上、シュートを1本でも多く打っておきたかったので、多少強引になっても打とうと思いました」

―“ここしかない”という絶妙な角度でのゴールでした。

「相手DFの足に当たらないことを意識しながら、あとはキーパーとの駆け引きでタイミングを考えながら打ったシュートです。実は、ゴールマウスはあまり見ていなくて、ほとんど感覚だけで打ちました」

―好調だったドウグラス選手が、9月26日の札幌戦でケガで離脱したため、浅野選手にチャンスが巡ってきたわけですが、このチャンスで確実に結果を出せるのはなかなかできないことだと思います。メンタルの強さなども結果に結び付いているのではないかと思います。

「どうでしょう……。メンタルが強いかどうかは自分では分からないんですよね。全然考えていなかったりするので。ただ、どういう感じで点を獲ろうなどのイメージトレーニングはしています」

―ワントップでスタメン起用されることは予感していましたか?

「9月27日以降の練習の流れで、ワントップで出るかもしれないなとは思っていました。ただ、スタメンで出れるとは思っていなかったです。試合2日前ぐらいの練習のときに、もしかしてスタメンかもしれないなと感じました」

―城福浩(前)監督からはどのように指示を受けていましたか?

「相手DFの背後に抜け出す動きについていくつか指示を受けました。どのように裏を狙うかなどは結構話しましたね。なので、得点を奪い期待に応えることができたので本当に良かったです」

―9月22日のC大阪戦でも果敢に裏を狙っておられました。2回ともオフサイドになってしまいましたが、素晴らしいチャレンジだったと思います。

「背後への抜け出しから点が獲れることが、相手にとっても脅威になると思いますし、自分の武器でもあります。そこはどんどん磨いていきたいですし、こだわってやっていきたいです」

―武器を磨いていくために、日々の練習から意識していることはありますか?

「マークされているDFとの駆け引きや、自分の体の向き、スペースがどこにあるかなど常に周りを見ることが必要です。ただ、それができるようになるために、何を意識しているかというのは説明が難しいですね。パスを出してくれる味方とのタイミングもありますし、駆け引きが重要なのは間違いないのですが、今は上手く言葉で表現できません……。語彙力がなくてすみません(苦笑)」(続く)

《プロフィール》
浅野 雄也(あさの ゆうや)
1997年4月25日生 三重県出身/MF
■ クラブキャリア
2019:水戸ホーリーホック/34試合・4得点
2020:サンフレッチェ広島/32試合・5得点
2021:サンフレッチェ広島/36試合・5得点
※記録はリーグ戦のみ。2021年12月3日現在