今シーズン、交流戦から5番に定着すると132試合に出場。プロ初の規定打席に到達し、リーグ2位の打率を記録した。また、捕手以外にも一塁の守備にも挑戦するなど、貴重な経験をした“進化”のシーズンとなった。躍進の2021年を倉将吾の言葉で振り返る。(全3回のうち3回目・取材は11月中旬)
(2回目から続く)
◆一塁の守備がもたらしたのは捕手としての視野の広がり
─打撃を活かすため、今季から一塁の守備にも挑戦されました。これはいつから取り組まれたのでしょうか?
「あまり覚えていないですね……。一塁を守ってみろと言われたので始めたのがきっかけです。慣れないだけに当然難しさはありました」
─一塁の守備を経験したことで、成長したと感じることはありますか?
「正直エラーが多いですし、成長したかと言われたら分からないのですが、別のポジションを経験したことで、捕手としての視野が広がりました。マスクをかぶった際、これまで以上に周りが見えるようになりました」
─具体的にどのように視野が広がったのでしょうか?
「まず配球の部分で言うと、マスクをかぶっている味方の捕手がマウンドの投手をどうリードするのか、相手打者がどう対応してくるのかなどを、一塁の守備位置からよく観察するようになりました。そこで得たものを自分が捕手として出場する時に活かしています」
─今年、最多勝のタイトルを獲得した九里亜蓮投手とは20試合バッテリーを組まれました。坂倉選手が考える九里投手の魅力を教えてください。
「ストライクゾーンに、テンポよく多彩な球種を投げ分けて、三振を奪えるし、打たせて取ることもできる投手。また、球数を投げるタフさもあります。テンポが悪かったり、四球を出したりすると、相手チームに流れがうつりやすくなります。そのあたりの要素が少ない投手だからこそ、勝ち星を積み重ねていけるのだと思います」
─九里投手とバッテリーを組んだ試合で印象に残っているものは?
「すぐ思い浮かぶのは、九里さんの開幕3連勝(3月27日・中日戦、4月3日・DeNA戦、4月10日・巨人戦で白星)に貢献できたことですね。あと、中村奨成がスタメンマスクをかぶった5月19日の巨人戦の投球もすごかったです。コロナ禍でチームが苦しいなかで完投勝利ですから。さすがの一言ですね」
─昨年は森下暢仁投手とよくバッテリーを組んでいましたが、今年は一塁から投球を見ることも増えました。森下投手の投球はどう見ていましたか?
「やっぱりすごいと思いますね。クオリティ・スタートがチームで2番目に多い(19回)ですから、勝ち星が増えていないのは、森下さんだけが悪いわけではありません。もっと得点を取ってあげられていたらと思いますね」
─カープは捕手の層が厚いです。會澤翼選手や石原貴規選手など、ライバルからどんな影響を受けていますか?
「一塁を守っていると、マスクをかぶっている選手の立ち居振る舞いや試合の間合い、試合のつくり方など、そういった部分がより見えるようになったので、勉強になることが多かったですね」
─来季は6年目のシーズンとなり、チームの主力としての責任感も増していきます。ペナントレースが終わったばかりですが、来季に向けて意気込みをお願いします。
「今年、5番を打たせてもらいましたが、〝5番打者〟が求められる数字にはまだまだ物足りないと思っています。その差を詰めていけれるように、秋季キャンプから課題を持って取り組んでいます。あとは……やっぱり自分は〝捕手〟ですから、マスクをかぶった試合はしっかりと投手とチームを勝利に導けるようにプレーしたいと思っています」
◆坂倉将吾 #31
捕手/右投左打/5年目
【2021年成績】132試合 422打数133安打 打率.315 12本塁打 68打点 4盗塁