プロ8年目で初めて獲得したタイトルは「最多勝」。2年連続で先発ローテを守り、最後まで投げ抜いた。どんな場面でもチームのために腕を振るってきたタフネス右腕にようやく称号が加わった。今季の印象的な試合、そして先発への思い……カープでの8年目を背番号11の言葉で振り返る。(全3回のうち3回目・取材は11月中旬)

2013年のドラフトでカープに入団した大瀬良大地(左)と九里亜蓮。お互いに切磋琢磨を重ね、2人とも、今ではカープ投手陣の顔と呼べる存在へと成長を果たした。

◆大瀬良がいたから今がある。ライバルに抱いてきた想い

2回目から続く)
─投手陣を見渡すと、同期入団の九里投手と大瀬良大地投手の2人がチームを引っ張っているように感じます。同じ年のドラフトでカープに入団し、ドラフト1位と2位。良きライバルでもある大瀬良投手からどんな影響を受けていますか?

「本当に大きな存在です。入団以降、大瀬良に負けたくないという気持ちでずっとやってきました。通算成績では、まだまだ及んでいないのですが、目標は大瀬良に追いつき、追い越すこと。大瀬良のような数字を残し、これから先も切磋琢磨しながら、競い合っていけたらいいなと常々思っています」

─今回、本誌のインタビューで昨年まで6年間カープに在籍し、今年現役を引退したK・ジョンソンさんを取材しました。そこでジョンソンさんが『九里とはよくメールでやりとりしている』と言われていました。

「カープを退団してからも、チームのことをずっと気にかけて見てくれていて、よくデータなどもチェックしているそうです。今回も最多勝が決まった時、すぐに『最多勝おめでとう』と連絡が来ました。新型コロナの陽性判定を受けた時も連絡がありましたし、あとは、子どもの話とかもしますね。もちろん英語でやりとりしています」

─6年間、一緒にプレーした選手から見て、先発投手としてのジョンソンさんの姿はどう映っていましたか?

「KJが投げれば試合をつくってくれる安心感がありました。それはもう絶対的なもので、ブルペンも余裕を持って用意できていました。先発として投げさせてもらっている以上、僕自身もそういうところを目指していかないといけないと思っています」

─九里投手が考える先発投手の魅力を教えてください。

「先発は、きれいなマウンドに立ち、最後までそこで投げることができるチャンスがもらえるポジション。それが一番の魅力だと思いますね。ただ、僕自身、先発を任された昨年も今年も、そのチャンスをものにできた試合は少ないので、そこは高みを目指して頑張っていかないといけないと思っています」

─足りていないと感じている部分はどういったところですか?

「やっぱり完投数ですね。昨年も今年も2回しか完投していませんから、最後までマウンドを任せてもらえる投手にならないといけないと思っています」

─カープファンのみなさんにメッセージをお願いします。

「マツダスタジアムをはじめ、各球場に足を運んでくださり、声が出せない中でも、たくさんの拍手とメガホンの音で応援していただき、大きな力をいただきました。カープファンのみなさんのおかげで今シーズンも戦えたと思っています。本当に感謝しています」

九里亜蓮は、今季、マツダスタジアムでは12試合に先発し5勝。開幕2戦目の中日戦に登板し勝ち投手になると、そこから3連勝。快調なスタートを切った。

◆九里亜蓮 #11
投手/右投右打/8年目
【2021年成績】25試合 13勝9敗 149回 102奪三振 防御率3.81