プロ8年目で初めて獲得したタイトルは「最多勝」。2年連続で先発ローテを守り、最後まで投げ抜いた。どんな場面でもチームのために腕を振るってきたタフネス右腕にようやく称号が加わった。今季の印象的な試合、そして先発への思い……カープでの8年目を背番号11の言葉で振り返る。(全3回のうち2回目・取材は11月中旬)

2年連続で先発ローテを守り抜き、最多勝のタイトルを獲得した九里亜蓮。

◆坂倉とのバッテリーに成長の跡

1回目から続く)
─25試合のうち20試合で坂倉将吾選手とバッテリーを組んでいます。九里投手が考える、坂倉選手の捕手としての魅力を教えてください。

「いろんな球種を使いながら、しっかりと試合をつくれるよう、配球を考えてリードしてくれます。坂倉とは昨年から組むことが増えたのですが、打たれた試合というのは、お互いが〝あいつなら分かっているだろう〟という変な信頼感のもと投げて、打たれてしまっていました。なので、もう一度しっかりとお互いの意思疎通を図りながらやることが大事だと感じました。慣れた関係だからこそ、コミュニケーションが大切になる時があると思います」

─今年、坂倉選手と組んだ試合で印象に残っているものを教えてください。

「そうですね……やっぱり抑えた試合よりも打たれた試合のほうが頭に残っています。8月14日の阪神戦(京セラドーム)と8月20日のヤクルト戦(マツダスタジアム)の、後半戦が初まってからの2試合は、坂倉の打順の巡りなどもあり、会話ができないまま投げ続け、結局2試合ともに大量失点を喫してしまいました。なのでやはり、バッテリー間のやりとりは大事だと思いますね」

─佐々岡真司監督就任以降、先発として活躍しています。九里投手にとって、この2年間はどんな時間でしたか?

「先発は一週間に一度しか登板予定がないので、しっかりと責任感を持って準備し、投げないといけません。その気持ちだけは強く意識した2年間でした。あと、ロングリリーフをはじめ、中継ぎとして投げてきた経験も先発に活きていると感じています」

─ここ数年、投手・野手ともに若い選手が増えました。コミュニケーションで意識していることはありますか?

「僕自身、そんなに口が達者なわけではないので、どう伝わっているのか分からないのですが、自分からも話しかけ、彼らから学べるところは学ぶというスタンスでコミュニケーションをとるようにしています。アドバイスを求められた時は、僕が知っていることであれば、しっかりと伝えます。そういうスタンスで接するようにしています」

九里亜蓮、大瀬良大地、森下暢仁の先発3本柱が今年も先発ローテを牽引。3投手ともに規定投球回をクリアし、3人で31勝をあげる活躍をみせた

◆九里亜蓮 #11
投手/右投右打/8年目
【2021年成績】25試合 13勝9敗 149回 102奪三振 防御率3.81