2021年シーズン、佐々岡監督2年目となるカープは終盤に追い上げを見せたものの、3年連続Bクラスとなる4位に終わった。攻撃陣を振り返ると小園海斗、林晃汰、宇草孔基など若手野手が出場機会を得た。彼らが終盤にかけて奮闘を見せたことは、来季へつながる好材料だった。

プロ3年目で初の規定打席に到達した小園海斗選手

 ここではヤクルト、カープで活躍したプロ野球解説者の笘篠賢治氏に2021年シーズンのカープ打線について総括してもらった。今回は、打線のつながりについて聞いた。

◆つなぎの意識が強すぎて長打が減少していた

 今シーズンのカープ打線はリーグトップのチーム打率となる.264をマークしました。カープ打線の1年間を総括していきます。

 前半戦ですが、キャンプから意識してきた「つなぎ」の野球を目指していました。もちろん、つなぐ意識は大切なのですが、想定していたものとは違う攻撃だったように感じます。

 それは何かというと、爆発力です。つなぎの攻撃でランナーが出る、その後に長打が出て、ビッグイニングをつくる。そういう戦いができなかったように思います。

 つなぐ意識というものを、逆方向に打つ、ランナーを進める、という意識が強すぎるあまり、ここぞという時の爆発力につながっていなかったと思います。

 特にそれを感じたのが、前半戦の鈴木誠也の本塁打数です。つなぎの意識が強すぎるあまり、長打が出づらい状況になっていたのではと感じていました。

 しかしながら、後半戦の彼の打撃を見ると、当然技術的な部分の変化も大きいと思いますが、前半とは違ってしっかりと振り切る打撃で本塁打数を激増させました。そう考えると、4番の鈴木でさえ、そのような意識を持ちすぎていたのかもしれませんね。

 そう考えると、前半戦のカープ打線は「怖さに欠ける」状況だったように思います。後半戦は鈴木を筆頭に良い形が見えてきました。まずは、各打者がしっかりと振りにいけていました。

 そしてもう1つ、特に9月、10月あたりは、ヒットエンドランを展開していました。このような振り、攻撃を仕掛けることで、ランナーが一、三塁というチャンスの場面も生まれていました。

 後半戦は打順を見ると、1番に宇草孔基、2番に小園海斗と、来季に向けて良い形ができていたと思います。特に小園は今シーズンはレギュラーをつかんだ年だったと思います。

 上位打線で足を使ったヒットエンドランを絡めたり、必要な時はバントを仕掛けたりしていました。機動力という部分では、3番に小園を置いている時は、ほとんど足が使えていませんでした。

 これは4番・鈴木の前なので、リスクを伴うということを避けていたのかもしれません。本来の小園は、打って、走って、守れる、これからの選手です。機動力も早いうちから意識させて走らせないと、今後走れない選手になる恐れもあります。だからこそ、1、2番を打たせて育ててほしいですね。