佐々岡監督2年目となった今シーズン、カープは4位に沈んだものの、多くの若手がチャンスをつかんだ。

リーグ2位の打率をマークし、大きく飛躍を遂げた坂倉将吾選手。

 その筆頭格がリーグ2位の打率をマークした坂倉将吾だろう。ここではヤクルト、カープで活躍したプロ野球解説者の笘篠賢治氏に坂倉、さらに同じ左打者の林晃汰についての見解を語ってもらった。

◆坂倉の守備併用が打線の鍵に

 今季は多くの若手打者が躍動しましたが、その筆頭が坂倉将吾です。守りの面では捕手と一塁で兼用されていました。大変な負担がかかる中で、素晴らしい打撃を展開しました。

 またシーズン途中からは5番に抜擢されていました。最終的には打率は鈴木に次いでリーグ2位(.315)をマークするなど、鈴木との勝負を相手が簡単に避けられない打線にもなったのではないでしょうか。どっしりとクリーンアップを任せられるような打撃ができるようになった。これは彼にとっても、チームにとっても大きな収穫です。

 また、坂倉が一塁を守れるというのも、今後の打順構成に大きく影響します。捕手陣には右打者の會澤がいます。まだまだ老け込む年齢ではありませんし、元気に頑張ってやってもらいたいです。打線を強力にしていくのであれば、會澤にも、坂倉にも出てもらわなくてはならない場面もあるでしょう。ただ、會澤も年間フル出場は厳しい面もあると考えると、石原貴規もキャッチャーとして一軍の舞台で大切な存在になってきたのかなと思います。

 そして、もう1人成長を見せたのがプロ3年目の林晃汰です。彼は今シーズン非常に頑張りましたが、レギュラーを取ったといういうよりは、首脳陣が我慢して起用し続けたという印象があります。その中で、林が必死に食らいついていった感じですよね。

 打撃面では、まだまだ確率の部分であったり課題はあります。しかしながら、ライト方向に非常に強い打球を打てる、いわゆるポイントを前にして引っ張れる打撃というのは、昨シーズンと大きく変わったところだと見ています。

 速球も良い方向に打ち返すことができて、逆方向へも打てるのは彼の得意な打撃です。どうしても好調な打撃を展開していると、インコースを責められるケースが増えるものです。そこをどのように対処していくか? それが林の課題の1つでもありましたが、厳しいコースも捉えられるようになり、本塁打も増えました。これは大きな成長だと思います。